次世代の企業価値と競争力創出のために

富士通が取り組むDXとサステナビリティ

メインビジュアル : 次世代の企業価値と競争力創出のために

目次


今、世界のビジネスは、これまでの効率・コスト業績至上主義から離れ、気候変動や都市問題、経済格差等の社会課題を解決するソーシャルグッドの実現を目指すようになっています。そのために企業は自らのパーパス(存在意義)を見つめ直し、新たな軸足を定めた上でビジネス環境の変化に素早く対応して、新たな企業価値を創造していくことが強く求められることになりました。そして、その新しい企業価値を社内外に向けて明確に示し、持続可能な社会の実現に向け、ビジネスを通じて貢献していくことを、意思と実践の両面でアピールすることが必要です。
富士通は、2021年2月24、25両日にわたって開催された「サステナブル・ブランド国際会議2021横浜」において、2つのセッションに登壇。パーパスドリブン、データドリブンによる事業の推進、および、独自のDigital Transformation (DX)とサステナビリティへの取り組みについて紹介しました。弊社では、トランスフォーメーション主体のDXと、ビジネスの後押しとなるサステナビリティの活動を、自らのDX企業への改革を通じて実践しており、そのコアとなる考え方を世界に向けて発信したのです。

世界のDXとサステナビリティの現状

2020年に全世界を襲い、現在もその影響が続いている新型コロナウイルスは、様々なビジネスの業績悪化をもたらす一方で、企業のデジタル化の機運を高めてDXを推進するというポジティブな効果にも繋がっています。また、企業体質をよりレジリエントでサステナブルなものにしなければ、変化の激しい社会と環境の中で生き残ることは難しいという事実を、改めて認識させたと言えるでしょう。
調査会社IDCの予測(注1)によれば、2022年までに世界のGDPの65%がデジタル化によってもたらされ、2020年から2023年にかけてDX関連の直接投資は年率15.5%の割合で伸び、6.8兆ドル(約726兆円)に達すると予想されています。
一方で、DXの適用業務という点では、「IT/情報システム」、「業務オペレーション」、「戦略策定」、「マーケティング」の4分野が、世界、日本国内ともに高いことが明らかとなりました(注2)。世界的には、特にニューノーマルの時代に企業と顧客とのエンゲージメントのバーチャル化が進む中で「DXの真の目的はカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上にある」との考え方が台頭し、「CXのためのDX」という流れが、「IT/情報システム」へのDX適用に次ぐプライオリティとなる勢いで伸びています。すでに世界中のビジネスにとって、企業カルチャーを変革し顧客と社会が抱える課題に応えていくことは急務になっているのです。

こうした状況の中で富士通は、すでに社長の時田隆仁が「AIやブロックチェーン等の技術を提供するからデジタル企業、DX企業なのではなく、それらを使って社会の構造を良い方向に変えていける企業になることが重要」であると宣言し、社員の「意識改革」や社会課題の「自分事化」等に基づいて、DXとサステナビリティの分野における独自の取り組みを進めています。その具体的なビジョンと実践例を「サステナブル・ブランド国際会議2021横浜」における2つのセッションからご紹介します。1つ目の「CXOが語る、企業価値を創るサステナビリティ」には弊社CMOの山本多絵子が、また2つ目の「DXでつかむ! 時代が求める新しい競争力~選ばれ続ける企業であるために」には、同エバンジェリスト推進室室長兼シニアエバンジェリストの及川洋光が、それぞれパネリストとして参加しました。

(注1)IDC Reveals 2021 Worldwide Digital Transformation Predictions<https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS46967420>(英語サイト)

(注2)IDC デジタルトランスフォーメーション動向調査 国内と世界の比較結果を発表<https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ47197520

富士通のパーパスの根幹を支えるサステナビリティ

「企業価値を創るサステナビリティ」をテーマとする1つ目のセッションで、モデレーターから投げかけられたのは、「サステナビリティは、企業のブランディングやマーケティングと矛盾しないか?」という根源的な問いでした。これに対して山本は、「DX企業への変貌を遂げる中で、持続可能な世界に向けて事業の軸をつくるという目的のためにパーパスドリブンな経営を行なっていこうとしており、それに対するマーケティングもパーパスに沿ったものとして展開されている」点に触れ、富士通のビジネスやマーケティングが自然な形でサステナビリティに結びついていることを説明しました。
全世界で13万人の社員を擁し、日本で1位、世界でも7位のIT企業として認められている富士通では、コロナ禍が顕在化してすぐに全社的なリモートワークに移行。現在も80%の社員がリモートで働き、75%の満足度を得る等、ワークスタイルひとつをとってもサステナブルな体制を築いています。このことは、直接的な顧客やエンドユーザーに至るまで、業務やサービスを途切れさせない優れた体験へと繋がってきました。
国際的にも「従業員エクスペリエンス」、「カスタマーエクスペリエンス」、「ユーザーエクスペリエンス」を総合的に満たすTX(トータルエクスペリエンス)を提供することが、企業評価における重要な指標となりつつあります。これらや、環境・社会・ガバナンスに関する富士通の取り組みは、高く評価され、ダウ・ジョーンズのサステナビリティ・ワールドインデックス(注3)の構成銘柄に選定されています。
山本は、「富士通が経営を財務指標(ビジネスの成長や利益等)と非財務指標(社会、顧客からの信頼や従業員のエンゲージメント、企業カルチャーの変革等)の2つの観点から評価することによって、パーパス(注4)の実現を図っている」ことに言及。その中で、人権・多様性、ウェルビーイング、環境、コンプライアンス、サプライチェーン、安全衛生、そしてコミュニティという7つの課題に重点的に取り組む社内施策、GRB(グローバルレスポンシブルビジネス)にも触れました。
このGRBに沿った富士通の事業の1つとして、「身体・社会・精神的に良好な状態にあること」を意味するウェルビーイングの領域があります。こちらの領域における成果としては、長崎港に停泊中のイタリア籍のクルーズ船にウイルス感染者のクラスターが発生した際には、県からの要請に応じて、わずか9時間で健康観察のためのチャットアプリを納品する等、社会問題を自分事として捉えて行動する社員の努力が課題解決へと繋がった事例に言及しました。
山本は、自身がCMOに就任してから立てた変革の5つの柱の中から、特にデータドリブンによるマーケティング施策と企業カルチャーの改革を取り上げて、その重要性を解説。データドリブンマーケティングでは、数字ではなく、顧客や従業員の声を収集・分析してアクションを起こし、その結果をモニタリングした上で新たな声を収集するというデジタル・フィードバック・ループをグローバルに確立したことに触れ、その質問項目の中にサステナビリティや環境に関するものを含めている点を強調しました。グローバルでのモニタリングを同一基準・同一タイミングで行ってデータマネジメントするこの仕組みは、顧客のサステナビリティの課題を富士通が把握して支援していく上で、大きな役割を果たすものです。

また、企業カルチャーの改革は社内ブランディングともいえるもので、持続可能な世界をイノベーションによって実現するというパーパスに向けて、経営トップのメッセージ発信に留まらず、社員一人ひとりの意識改革を促すと共に、組織全体のインタラクティブなコミュニケーションを重視しました。掛け声だけでなく、KPIも設定して社長を委員長とするサステナビリティ経営委員会を設置して半期ごとに進捗状況を確認することで、前向きに実践していくための環境づくりにも力を入れています。さらに、デザインシンキングに基づく社内ワークショップの開催や、部門ごとにチャンピオンと呼ばれるリーダーを育て、そこから草の根的にカルチャーを変えていく活動も並行して行う等、改革もマルチチャネルに対応させることでスピード感を得ているのです。

なお、富士通では、各国政府やグローバル企業が脱炭素社会への移行を宣言する中、国内で提供するクラウドサービスの運用に必要な全電力を2022年までに100%再生可能エネルギーに切り替えることも発表しています。これは、お客様が個々のサーバーで行なっている処理をクラウドに集約することで省エネにつなげ、そのクラウドサービスを再エネ化することによって、お客様と社会の脱炭素化に貢献していく流れの一環です。
このように富士通は、リモートワークの実践からエネルギー消費のあり方まで、様々な施策を通じてサステナブルなビジネスと社会を作る努力を続けています。そして、今後とも、社会全体のサステナビリティに貢献する人材を育成するために社内外の声に耳を傾けていこうとしているのです。

(注3)プレスリリース:「Dow Jones Sustainability World Index」に通算21回目の選定(https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/11/19.html

(注4)イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと

ビッグビジョンと情報の活用で社会課題を解決

2つ目のセッションのテーマとなった「選ばれ続ける企業であるためにDXが果たすべき役割を明らかにする」という命題は、新型コロナウイルスによって、かつてないほどの重要性を帯びています。ワクチン接種の開始という希望もある一方で、依然として先行きに不透明感が漂う中、これからの世界がどのように変化し、それにビジネスがどう対応していくかは、全ての企業人にとっての大きな関心事となりました。
しかし、いずれはこの危機からの回復期を迎えます。その時に心しておく必要があるのは、全てのビジネスにおいて、これまでのやり方が通用しなくなり、以前と同じ状態には戻れないということです。及川は、そのために欠かせない資質を「Reimagine(再構想)」という言葉で表し、既存のビジネスの脆弱性を克服して新しい業態を確立する上で、想像力が大きな役割を果たすことを指摘しました。
これからのビジネスは、「コンポーザブル((再)構成可能)」であることが世界的な潮流となりつつあります。発想、ビジネス構造、テクノロジーの全てをモジュラー化して迅速に入れ替えができる柔軟な対応力を備えることを指すものです。
及川は製造業を例に挙げて、コストの安い場所で製品や部品を製造する集中型のサプライチェーンがコロナ禍によって大きなダメージを受けたことに言及。「企業戦略として、従来のコストや効率性の重視から脱却して、変化への柔軟な対応力が求められる」と語りました。これも、コンポーザブルな社会の実現に向けた提言です。
しかし、企業戦略の見直しは一朝一夕に行えるものではありません。そこで着目すべきなのが、企業のパーパスを見直し、未来への大きなビジョンを描くということです。そして、現在の延長線上に企業戦略を立案するのではなく、パーパスに基づいて再構築した未来のビッグビジョンからバックキャスト(時間軸を遡って投影)し、その実現に向けた戦略を立てることが必要となります。

図 : DXを支えるテクノロジー

富士通もいち早く企業ビジョンの再構想に着手し、先に挙げた新たなパーパスを定めました。そして、このパーパスドリブンのイノベーションを進めるために、コンピューティング、AI、5G、サイバーセキュリティ、クラウド、データ、IoTという7つの技術領域をDXのための重点項目として位置付けています。例えば、理化学研究所と富士通が共同開発した「富岳」は、理化学研究所等が行なったウイルス飛沫シミュレーションでよく知られていますが、医療だけでなく、新発想のものづくり、宇宙や生命の謎の解明、AIやロボット研究等、様々な社会課題解決に向けての活用が期待される、コンピューティング分野の取り組みです。
また、AIやIoTによって、全てのものが繋がることで、リアルな事象をバーチャル空間で再現するデジタルツインが実現します。例えば、オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社との共創コンセプトとして推進しているスマートステーション構想では、バーチャル空間上で可視化された、乗客、駅員、設備の状況をリアルな駅に反映することによって、安全・快適なステーション運営を可能としていく予定です。
こうしてリアルとバーチャルが相互連携するデジタルツインの中で、データに基づく未来予測型の社会に向けた活動を、富士通自身も実践しています。

パーパスに基づくソーシャルグッドな取り組みをグローバルに展開

このように富士通では、企業カルチャーの変革とサステナビリティの高度な融合に基づく様々な施策を実践することでIT企業からDX企業へとビジネスのドメインを変え、前述した自社のパーパスの実現に邁進しています。また、富士通は「国際競争力」や「革新性」等を指標とした総合的な判断に基づく米FORTUNE誌の「世界で最も賞賛される企業」に3年連続で選出(注5)される等、国際的にも高い評価を受けるようになりました。
今後とも富士通は、自らのパーパスに沿ってソーシャルグッドな取り組みにフォーカスする体制の整備を一層進めることによって、さらに広く深く、グローバルなビジネス展開を図っていく予定です。DXとサステナビリティを発想と実践の両面でリードし、日本と世界の社会課題を解決する、新たな富士通の取り組みにご期待下さい。

(注5)プレスリリース:米FORTUNE誌「世界で最も賞賛される企業」に3年連続で選出(https://pr.fujitsu.com/jp/news/2021/02/5.html