ポストコロナ時代は「カスタマー・エモーション」を中心に据えたDXプランが成功する

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最近のバズワードの1つは「デジタルトランスフォーメーション」を意味する「DX」ですが、これがバズワードになったのには理由があります。全世界で様々なブランドが、「カスタマー・エンゲージメントにとっての『ニューノーマル』の意味」を解き明かそうと必死です。同時に、製品部門およびマーケティングのリーダーは、しばしば予算削減を伴う相当な不安と不透明感に悩まされています。そして、消費者は新たな形でブランドと関わるようになり、そこには、新しい関係性のパターンや優先順位、忠誠心が見えてきました。

しかし、消費者も結局のところは「生身の人間」です。しかも、私たち「生身の人間」は、現在、苦境に立たされています。「友人や家族と会えない」、「健康上の問題に悩んでいる」または「突然の解雇に見舞われた」など、私たちの生活は、この半年から1年の間に、はるかに多くのストレスであふれ、複雑化してしまいました。そして、私たち「生身の人間」は、感情の生き物でもあるのです。

したがって、今必要なことは、顧客の気持ちや、企業に対してフィードバックしようとする姿勢に、共感を示すことです。世の中の不透明感によって、各ブランドの身動きが取れないような状況を、そのまま受け入れてしまっては、先に進めません。顧客のニーズを、より良く理解するきっかけとすべきなのです。

Customer emotion and customer sentiment

今、カスタマー・エモーションが大きな重要性を持つ理由

2020年、私たちの多くは、世界情勢により、感情の激しい浮き沈みを体験しています。これらの感情は、購買決定をはじめ、消費者として私たちが下す多くの決定の原動力となりうるものです。感情的になると、目の前の出来事について肯定的または否定的な感情を抱かせる化学物質が脳内で放出されます。顧客が購入を完了する、レビューを書く、ソーシャルメディアであなたの会社について言及する、このいずれの場合でも常に何らかの感情の状態が行動に関係しているわけです。

顧客関係の理解、評価、改善の要は、感情の把握と分析です。DXについて考える際にも、それが、情報に基づいた意思決定を行うための鍵となります。そのため、カスタマー・エモーション、つまり、顧客感情のデータを手に入れることで、事業、製品、またはサービスを進化させ、顧客のニーズを今すぐ満たすことができるようになるのです。

カスタマー・エモーションとカスタマー・センチメントの違い

顧客の感情を意味するカスタマー・エモーションと、顧客の心情を意味するカスタマー・センチメントは常に結びついていますが、以下のようないくつかの重要な違いがあります

  • センチメントは整理されていますが、エモーションは情動的です。状況に応じて、エモーションは、激しく、瞬間的に湧き上がり、反動的な場合があります。これに対して、センチメントは、熟慮のためのより長い時間を必要とするものです。
  • エモーションは、気持ちと比べすぐ変わります。エモーションは、ある出来事がきっかけで瞬間的に湧き起こることがありますが、センチメントはあるテーマ、例えば、あなたのお気に入りのブランドを取り巻くエモーションの、長期的な変化に基づくものです。
  • センチメントは、一般的にポジティブかネガティブなものですが、エモーションには、より幅広い評価の軸があります。センチメントの測定では、顧客の忠誠度を測るNPSこと、ネット・プロモーター・スコアのようなフラットな尺度での評価手法が標準的です。しかし、このような手法で語ることができるのは、全体像のごく一部にすぎません。多様な顧客ベースと同じだけ幅広く存在する顧客の気持ちをすくい取って、その具体的な意識をより深く掘り下げるためには、エモーションデータの評価が必要なのです。

すべての始まりは体験です。CX、つまりカスタマー・エクスペリエンスは、取引関係全体でのブランドと消費者間のあらゆるやりとりによって醸成されます。しかも、デジタルおよび対面の接点を介した潜在的なやりとりの数は無限で、ブランドごとに異なるのです。

つまり、センチメントは「何?」で、エモーションは「何故?」。CXの成功には、この両方を評価して行動を起こすことが重要です。

エモーションデータを収集および評価する方法

意識の評価は難しいかもしれませんが、すべての顧客の意見を聞くことから始めてください。多くのブランドは、現在、「大多数からのフィードバックを基に顧客中心の製品を作っている」と考えているかもしれません。しかし、この解釈は真実からかけ離れています。手元のデータによると、実際には、顧客基盤の1%未満に過ぎない、いわゆる「口うるさい少数派」の意見しか採り入れられていないからです。

現状では、意見が届いていない99%の人々のエモーションデータを解放するには、次のことを実践してください。

  1. 対象者、場所、および頻度を決める。カスタマー・エモーションの測定を成功させるためには、顧客の行動に基づくターゲティングが不可欠です。例えば、モバイル状態にある顧客のエンゲージメントを測定するためのタッチポイントが、顧客の行動に基づいてターゲティングされず、パーソナライズされていなければ、全く測定しないのと同じともいえるのです。
  2. センチメントの表現に焦点を当てる。カスタマー・エモーションのデータを取得するためには、モバイルアクションとフィードバックに基づいて表出した感情に注目します。そして、測定された感情を元に、顧客を4つのカテゴリーにセグメントしてください。
    1. リスク顧客に変わったファン顧客:
      表出したエモーションが肯定から否定、つまりファンからリスクに変わった顧客。
    2. ファン顧客に変わったリスク顧客:
      表出したエモーションが否定から肯定、つまりリスクからファンに変わった顧客。
    3. 新しいファン顧客、またはリピーターのファン顧客:
      設問に「はい」と答えることで、初めて肯定的なエモーションを表出したか、2回以上連続で肯定的なエモーションを表出した顧客。
    4. 新しいリスク顧客、またはリピーターのリスク顧客:
      設問に「いいえ」と答えることで、初めて否定的なエモーションを表出したか、2回以上連続で否定的なエモーションを表出した顧客。
  3. センチメントの変化の裏にある「理由」を定量化する。これが鍵となります。センチメントの表現が変化する理由は、様々に考えられます。ファン顧客に変わったリスク顧客は、一般的に、カスタマーエクスペリエンスの改善やアプリ内体験が好ましく変化したことの証です。リスク顧客に変わったファン顧客は、この逆で、不満を生じさせる好ましくない変化が提供内容やカスタマーエクスペリエンスに加えられたことを意味する傾向にあります。前述のとおり、センチメントは「何?」、感情は「何故?」に起因するものです。CXの成功には、この両方を評価して行動を起こすことが重要といえます。

エモーション・データの活用方法と、業績との関係

専門家によると、今後の10年間で優れたCXを確立する鍵は、カスタマー・エモーションとカスタマー・センチメントの理解にあります。調査会社のForresterの最近のレポートでは、主要なブランドも、卓越したCXの確立にあたって、顧客のエモーションに着目することで忠誠心を構築していることが分かりました。

突き詰めると、エモーションのデータが役立つのは、センチメントの変化と、アプリ内体験や製品の提供内容の変更点とを結び付けて考える時です。

顧客から表出されたセンチメントに変化が見られなくても、企業には、ある種のアクションが求められます。例えば、ある顧客が一貫してファンであり続けているとしましょう。この場合、ブランドが行うべきことは、このような顧客を自社ブランドの推薦者として活動してもらうための働きかけです。この逆のケースもあります。ある顧客が一貫して不満を感じている場合は、顧客でいてもらうための抜本的なアクションが求められます。何らかの対処をしなければ、競合他社に乗り換えられる恐れがあるからです。

英語の資料「2020モバイル・アプリ・エンゲージメント・ベンチマーク・リポート」では、カスタマー・センチメントの変化に関する業界標準的な数字を徹底的に調査しています。その結果、2019年のモバイル・アプリのユーザーのうち「iOSデバイスでは58%、Androidデバイスでは65%、平均して60%が新しいファン顧客またはリピーターのファン顧客」であったことがわかり、同様に「iOSデバイスでは32%、Androidデバイスでは28%、平均して31%が新しいリスク顧客またはリピーターのリスク顧客」であったことが示されました。もし御社がアプリをリリースしているなら、そのアプリはどう評価されるでしょうか?

世の中の不透明感は非常に強く、多くの企業は、顧客の気持ちやフィードバックしようとする姿勢に取り組む方法に確信を持てないために、アクションを起こせずにいます。しかし、だからといって、顧客の気持ちやフィードバックの優先順位を下げるのは間違いです。ポストコロナ時代のプランを立てるにあたり、これらの要素の重要性はかつてないほど高まっているからです。

コロナ禍で生じた新しい現実は、フィードバックに耳を傾けて顧客に寄り添い、その過程でブランド離れを減らすための、たぐいまれな機会でもあります。消費者が自宅でブランドと向き合う中、増加し続けるブランド離れに敗北感を覚えるのは容易ですが、その先を行って顧客ベースを維持することも可能なのです。ポストコロナの世界においても顧客行動は進化し続けていきます。これを機に適応し、計画を立て、持続的変化を創造することが、将来的な成功を勝ち取るうえでは、何よりも重要なのです。

この記事は元々、CX関連のコンサルティング企業であるアップテンティブのブログに掲載されたものです。

 

この記事はBusiness2Community向けにロビ・ガングリーが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願い致します。

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