小売業界が注目するデジタルウォレットの10の魅力

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予想より少し時間がかかったかもしれませんが、ついにデジタルウォレットの普及に火がついたようです。2020年、小売業界はデジタルウォレットを導入することで売上を伸ばすことが可能になりました。

マスターカードの調査によって、モバイルウォレットの普及が進んでいることが明らかとなると共に、アメリカン・エキスプレスの調査でも、消費者の心の中にセキュリティ上の懸念が存在するにもかかわらず、デジタルセールスが伸びていることもわかっています。

つまり、もしあなたが小売業者で、まだこの時流に乗っていないなら、今こそ仲間入りを果たす絶好のタイミングだということです。「そんなうまい話には乗らない」という方も、ぜひ、以下の「企業が売上を伸ばすためにデジタルウォレットを導入すべき10の理由」をご一読ください。お薦めするわけがわかるはずです。

1. スムーズな支払い

デジタルウォレットによって、顧客の支払いは楽でスムーズなものになります。一番わかりやすい理由は、買い物でぴったりの小銭を出そうとして、財布やハンドバッグ、ポケットの中をあさる必要がなくなるためです。それに、食料品やガソリンの支払いのために、なけなしの現金を渡してしまう必要もありません。

古ぼけたPOSシステムでクレジットカードの暗証番号を押し続けたり、レシートにサインし続けた日々も終わります。レジ係に注文内容を確認した日々も、もはや過去のものなのです。

言い換えれば、何かを欲しいと思ってから手に入れるまでの手間が減るということになります。その結果、消費者の購買意欲が高まることが期待されるわけです。

スムーズな支払いの一例としては、アップル・ペイが挙げられます。このサービスは、「ある製品が欲しい」と「その製品を所有する」の間にあったあらゆる壁を取り払いました。顧客はレジの端末にアイフォーンをかざすだけで、必要なアイテムを入手できるのです。

2. ポイントサービスの簡便化

電子決済のパイオニア的存在であるペイパルのモバイルコマース担当ディレクターのロブ・ハーパー氏は、2015年の時点で、「たった今、あなたは5枚も6枚もポイントカードを使い分け、ポケットの中にあったクーポン券が見つかればいいなとも思っているでしょう。私は、それらのアイテムをまとめて、レジやモバイル上で1回タップすれば支払えるようにすることに、大きなチャンスを見いだしています」と述べていました

厳密には、今もまだそのレベルには到達していないものの、さまざまな店舗で、デジタルウォレットを利用したポイントサービスの簡便化が広まりつつあります。その最も有名な例は、スターバックスでしょう。同社のウォレットアプリでは、ポイントの見返りやクーポン、モバイルでの事前オーダー、カスタムマーケティングなど、さまざまな機能が提供されています。

このポイントサービスによって、スターバックスのモバイルアプリによる決済は、店内での総購入額の25%を占めるまでになりました。

3. シームレスなオムニチャネル体験

顧客は、実店舗でも、オンラインショッピングでも、あるいは、電子メールや販促用SMSの直接的なターゲットとしてメッセージを受け取る場合でも、企業のすべてのコミュニケーションチャネルにおいて、シームレスな顧客体験を期待するものです。

コマースソリューションプロバイダーのウェブリンクでユーザー体験担当ディレクターを務めるジェームズ・ヴァン・アースデール3世氏は、ビジネス・ニューズ・デイリーによるインタビューの中で「最適化されたカスタマーエクスペリエンスは、全チャネルを通じて一貫したものであることが必要です」と述べています。

「そのため、企業がモバイルサイトを用意して、顧客がスマートフォンからショッピングできるようにするだけでは、この問題の根本的解決にはなりません。バンドエイドで傷口の応急処置をするようなものです。顧客が望んでいるのは、検索に無駄に時間をかけずに済むように、興味を持ったコンテンツが、いつでも好きなデバイスに 対して等しく提供されることにあります。そこで重要になるのが、すべてのチャネルでインターフェースやコンテンツに統一感を持たせ、顧客が目当ての情報を簡単に見つけられるようにすることなのです。」

さらに同氏は、異なる市場セグメントに合わせてチャネルを選び、メッセージを調整することも必要であり、顧客の年齢層が下がるほど、電子メールよりもSMSで通知を行うほうが実際の販売につながっているとも説明しています。

4. モバイルアプリの効果的利用

オムニチャネル体験の別の要素としては、モバイルアプリの効果的な利用が挙げられます。この点についてWSJことウォール・ストリート・ジャーナルは、「かつては顧客が小さな画面を利用するオンラインショッピングに抵抗を感じていたもの、小売業者はモバイルチャネルの品揃えや簡便性をどんどん高めていった」と説明しています。

また、同レポートには「消費者がスマートフォンにくぎ付けになっている時間が増えるにつれ、小売業者は、ウェブサイトの閲覧を楽にしたり、見返りを提供したり、商品を的確に提示したり、購入手続きをワンクリックで済むようにしたりするためのアプリ開発に、ますます邁進するようになってきた」との指摘もありました。

いずれにしても、「現在成功を収めている小売業者は、顧客に、スマートフォンが一日中衝動買いをしたくなる商品陳列棚であるかのように思わせることに成功している。アプリは、スマートフォンから得られるデバイス利用のデータを分析することで、ユーザーに少しでも時間的な余裕があるとわかると、オンラインショッピングをするように促すことができる。」ということなのです。

5. ビーコンとの相性

モバイルアプリの爆発的増加に加え、パーソナライズされたメッセージをスマートフォンに送ることでターゲットを個々の消費者に絞り込む手段として、接近を感知して信号を発するビーコンが利用されるようになりました。ビーコンは、スマートフォンの接近がわかるような場所に設置されるほか、タブレットなどのキオスク端末にも内蔵されていることがあります。

事実、米国では、小売業者の75%がすでに個々のマーケティング手段の中にビーコンを組み込んでおり、個人の位置追跡や小売、広告分野における2016~2021年のビーコンの年平均成長率は、133%に達するとのことです。

そして何よりも特筆すべきは、ビーコンが大規模企業向けに限定されたマーケティングツールではないという点でしょう。中小規模の小売業者の間でもビーコンの利用によって8%の利益成長が見られ、投資対効果は365%にも達しています。

6. 金遣いを促す消費者心理

コンビニに入って財布を開けてみたら、少しの小銭しか入っていなかったとします。そんなときはどうするでしょうか? 恐らくあなたは、そのお札を不要不急なもの、たとえば、金額的に買えるとしてもガムの購入に使うようなことはしないはずです。

しかし、同じ金額が銀行口座に入っていて、ポケットの中にデビットカードがあったらどうでしょう。ためらわずに、そのデビットカードを使ってガムを買うのではありませんか? クレジットカードや銀行口座と紐づけされるデジタルウォレットにも、同様の心理が働きます。

言い換えれば、物理的に握りしめているわけではないお金は、手放すのもそれほどつらくないということです。

私たちは、残金がいくらあるかを目の当たりにしないほうが、お金を際限なく使ってしまう傾向にあります。もちろん、それは資金を管理するうえで良い方法ではないわけですが、小売業者にとっては好都合な消費者心理だといえるでしょう。

7. スピードと利便性

顧客にとっては、支払いの過程が可能な限りスムーズであるほどCXが向上し、企業に対する忠誠心も高まります。オンラインでも店舗でも、会計処理のスピードアップが図れるデジタルウォレットならば、それを実現することが可能です。

たとえば顧客は、ICチップ搭載のクレジットカードを使った処理時間のかかる決済のために、列に並んで待つ必要がなくなります。デジタルウォレットでは、端末にスマートフォンをかざすだけで手続きが完了するからです。

加えて、eコマースサイトでの商品の支払いをデジタルウォレットによって簡素化し、顧客がワンクリックでセキュアに会計を済ませることができるようにすれば、オンラインショッピングのカートに入れたまま、支払いが面倒になって買わずに放置される商品も減ることでしょう。

8. 決済機能+αの魅力

デジタルウォレットには、商品の支払いのみならず、顧客に期限切れ間近のクーポンがあることを知らせる機能や、ポイントの還元、お店の会員カード、クーポン、ギフトカード、チケット、搭乗券の管理といった付加的な機能も搭載されています。

加えて、グーグル、アップル、サムスンなどのデジタルウォレットでは、さらに期間限定的なサービスが提供されることもあるのです。たとえば少し前の話になりますが、サムスン・ペイでは、2016年のホリデーシーズン期間中に行われたすべての決済に対して、通常の4倍のポイントが付与されました。

9. 高いセキュリティ

デジタル技術の安全性は常に確保されるべき要素ですが、デジタルウォレットのセキュリティが非常に高いことは、徐々に知られるようになってきました。これは、決済処理にクレジットカード番号が使われないためです。代わりに「トークン」と呼ばれる、見た目も機能もクレジットカード番号のような15~16桁の乱数が、その場で生成されます。そのトークンは一度限り有効なものであり、万が一盗まれても、利用価値がないのです。

顧客がデジタルウォレットに自分のクレジットカードを登録すると、その情報はトークン用のコンテナにセキュアに保存され、サービスプロバイダーによって管理されます。国際ITガバナンス協会ISACAの取締役であるロブ・クライド氏によれば、こうした仕組みを採る理由は「悪意のある攻撃対象を、主に銀行やその他のセキュリティを専門とする組織のような、ごくわずかな関係者に限定するため」とのことです。

仮に、あなたがデバイスを紛失したとしても、サービスプロバイダーのアカウントからクレジットカードの登録を簡単に抹消できます。

10. ミレニアル世代

ミレニアル世代についてはさまざまなところで注目されているものの、ここでも話題にする価値はあります。結局のところ、彼らが社会の消費動向を左右する最大の層を成しており、極めて大きな破壊的変化をもたらすと共に、デジタルウォレットを利用する可能性が最も高い世代だからです。そのため、見込み客の中でも、特にこの層にターゲットを絞れば、デジタルウォレットの導入によって、売上を伸ばすことができるようになるでしょう。

ミレニアル世代では、4人に1人が、たったの5ドルさえ持ち歩かないことがわかっており、同時に、デジタルサービスに対する要求は他の世代より高い傾向にあります。その一方で、スウェーデン、ベルギー、オランダ、フランス、カナダ、シンガポールなどの国々では、キャッシュレス社会に向けた積極的取り組みが進行中です。

この重要な世代を惹きつけ、2020年に売上を伸ばすためには、決済方法としてデジタルウォレットを採り入れるべきといえるでしょう。

これらの10の項目が、デジタルウォレットの導入を考えるきっかけになれば幸いです。

こちらの記事は元々、電子決済関連のソリューションを提供するデューのブログに掲載されたものです。

 

この記事はBusiness2Community向けにアルバート・コスティルが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。

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