新聞も動画の時代へ。朝日新聞、北海道新聞、富士通が5G時代に合った編集・コンテンツ管理システムの開発を開始

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目次


新しい5G時代に合った報道メディアとは?

新しい移動通信システムである5Gの商用サービス開始に伴い、新聞業界に新たな変化が訪れようとしています。現在、主流のLTEと呼ばれる第4世代移動通信システムに比べ、約100倍高速になるとされる5Gでは、動画等のデジタルコンテンツの利用がさらに拡大すると考えられています。総務省 情報通信白書令和元年版によると、今後、世界の動画配信市場は右肩上がりに成長し、8兆円規模に拡大すると見込まれているほどです。

5G時代の到来に合わせて、新聞業界にもデジタルトランスフォーメーション(DX)の機運が高まり、新しい報道メディアへと生まれ変わろうとする動きが始まっています。紙の新聞から電子版へ、そして外部のポータルサイト等への配信。動画でのニュースも配信されるようになってきました。

図 : 急速に伸びている動画配信市場

急速に伸びている動画配信市場

従来、新聞社における記事のデジタル配信では、取材をもとにして執筆した文章、撮影した写真や動画等の素材を、複数の編集システムやデータベースを組み合わせて編集・配信していました。このため作業は煩雑で、時間がかかるといった課題がありました。

また、完成した記事や写真、動画を電子版で公開するだけでなく、外部のポータルサイトや動画配信サービス等に提供するケースも増えていますが、どの媒体でどの記事が配信されたかを確認するのも、複数のシステムが混在している環境では手間がかかっていました。

クラウドでコンテンツを一元管理、動画を組み合わせた新しい統合編集システム

それらの課題を解決し、より効率よく記事を制作・編集・配信できるように動き出していたのが、全国紙の朝日新聞社と、地方紙の北海道新聞社です。両社は、以前より電子版で新聞を公開する等のデジタル分野に注力。記事の制作から写真、動画を組み合わせた編集、データベースでの管理等を統合した編集・コンテンツ管理システムの開発をそれぞれ検討しており、情報交換を進める中で、共同で汎用性のあるシステムの構築を目指すことになりました。そして、富士通を加えた3社で統合編集システムの共同開発をスタートさせました。

新しい統合編集システムでは、文章、写真、動画等を含むコンテンツの出稿、編集、管理を1つのシステムで実現します。動画についても、既存の動画編集ツールと新システムを接続し、クラウドで管理することで、文章や写真と同じように扱えるようになります。

さらに、統合編集システムはAIや音声認識、マーケティングや顧客の分析等、様々なテクノロジーや外部ツールと繋ぐことも可能です。5G時代に合わせた新しい新聞コンテンツを制作・管理でき、その活用の可能性も広がります。

図 : 写真や動画等をクラウドで一元管理し、スムーズな記事編集が可能に

写真や動画等をクラウドで一元管理し、スムーズな記事編集が可能に

新システムは、コスト削減も期待されています。従来は、編集システムの開発や運用管理を新聞社自身が担ってきましたが、クラウド上に構築される新システムは、開発や運用の負担を大幅に軽減できます。その結果、人材やコスト等のリソースを、読者向けの新サービスといった新しい取り組み等に振り分けられるようになるでしょう。さらには、共同開発したクラウドのシステムを、他のメディア企業とも共同利用できれば、システムの維持管理コストも低減できます。

紙も電子版も同じプラットフォームで共同作成し、一連の作業をスピードアップ

この新システムには、「単なる新しいシステムの導入」だけでなく、「これからの時代に合ったメディアを作りたい。そのために広く長く新聞業界を支えていく、新しい統合編集システムを構築したい」との思いが込められています。

新聞の記事の出稿・編集・配信には、記者、編集者、デスク、コンテンツ管理者等、多くのプロフェッショナルが関わります。その人達が、クラウド上の同じシステムを利用して、記事を出稿・編集・コンテンツ管理できるようになれば、制作から公開までの一連の共同作業がスピードアップでき、新聞制作の現場は大きく効率化するでしょう。

メリットは効率化だけではありません。記事のスタイル、ニュースの伝え方までも変わる可能性も考えられます。記者が取材をもとに記事を書くだけではなく、取材現場で撮影した動画を統合編集システムで編集し、すぐに公開するといったことも可能となります。

動画コンテンツが手軽に、短時間で効率よく作成・編集・配信できるようになれば、文字による記事が中心だった新聞が動画ニュースの配信に変わっていくかもしれません。そんな新しい新聞メディアの在り方の可能性を探るには、動画を含む様々な新聞メディアコンテンツを一元的に管理できる新しい統合編集システムは欠かせないものと言えます。

良質で信頼できる情報を提供し続けるために

経済産業省は「2025年の崖」と題して、レガシーなITシステムはDXの妨げになると警鐘を鳴らしています。朝日新聞社、北海道新聞社、そして富士通の取り組みは、新聞業界におけるDXとして、業界全体を支えるエコシステムを作り出すことを目指したものと言えます。新しい時代に合った、良質で信頼できる情報を提供し続けるためにも、コンテンツを一元的に編集、管理できるプラットフォームは欠かせません。

新システムは、2022年度中の稼働を目標に共同開発に取り組んでいます。富士通は多くの業界でのシステム開発実績と、朝日新聞社・北海道新聞社との運用実績を生かし、将来を見据え、その業界にとって最適なDXが実現できるよう支援していきます。