AIで船舶衝突リスクを予測 船舶、人、港湾をより安全に

メインビジュアル : AIで船舶衝突リスクを予測 船舶、人、港湾をより安全に

目次


この記事はFujitsu Blogに掲載された「Safer ships, safer crews, safer ports – thanks to artificial intelligence」の抄訳です。
本記事の文中のリンクは英語ページに推移します

世界中で高まる船舶衝突のリスク、困難になる航行の安全性確保

今、船舶の交通量増加に伴い、世界中の港湾で船舶運航システムが煩雑化しており、船舶衝突の危険性がますます高まっています。

一度衝突が発生すると、船そのものの破損以外にも様々な所に影響が及びます。負傷者、貨物の紛失、石油や化学物質の流出の他、環境被害も考慮しなければなりません。

2018年に地中海で起きた衝突事故では、海洋に石油が流出し、長さ4キロ、幅数百メートルに渡る油膜が発生しました。その汚染を浄化するため、フランスとイタリアの海軍の介入が要請されました。

また、2019年5月には、アメリカのヒューストン運河で、タンカーと、2隻のバージを往航していたタグボートが衝突し、大量の化学物質が流出した結果、多くの船舶が行き来する水路の一部が閉鎖される事態となりました。この化学物質は、可燃性で、触れたり嗅いだりすると人体に危害を及ぼす有害なものであったため、環境上の非常事態となりました。

タンカー事故によるオイルの総流出量は、2018年だけでも、多くの死者を出した東シナ海の衝突事故も含め11万6000トンにものぼります。この東シナ海の衝突事故では、イランのタンカーが中国の貨物船と衝突して火災を起こし、1週間以上燃え続けた後、沈没して32人の乗組員が死亡しました。流出した化学物質は、天然ガスと石油採取の過程で得られる凝縮物(コンデンセート)でした。この物質は浄化が難しいため、巨大な油膜を形成しながら海面へ浮き出て、大気中に蒸発するのを待つことが、事態を収拾する最良の方法と言われています。しかし、それは決して望ましい解決策ではありません。

運輸安全委員会の報告によると、2008年から2018年の間に発生した衝突事故は日本だけでも2823件で、年平均では282件となっています。その数字は、到底許容できないものであり、環境や、船舶運航に携わる人々への潜在的な影響は無視できるものではありません。

環境に配慮する企業がより成功する

今日の企業経営にとって極めて重要なことは、社会的および環境的責任を重視することです。多くの顧客が、持続可能性を明確に示している組織とのビジネスを選択している現在、企業がこれらの機会を無視し、対等な条件での競争を期待することはもはや不可能になりました。

このような理由から、多くの企業や組織が、国連の提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」に賛同しています。SDGsは、全ての人々により良く、より持続可能な未来を達成することを目的とした一連の理念を掲げています。これらの目標は、全ての人にとっての社会的正義や機会均等と並んで、環境の持続可能性を中心に、幅広い基盤を含んでいます。

SDGsや環境、自らの競争力に貢献するために、海運会社と海上交通管制組織が取り組めることの1つに、混雑した海域における交通の流れと航行の改善があります。

AIを活用して衝突のリスクに対処 シンガポールでの実証実験も成功

ほとんどの船舶は、衝突の危険を減らすために、見張りを人手に頼っています。これでは、判断ミスが生じるリスクは限りなく大きく、乗組員や監視員、船長が余裕を持って、適切に衝突回避の警告を発することは困難です。

富士通は、船舶の衝突する危険を事前に認識するAI(人工知能)ソリューションを開発しました。15分前までに衝突の警告を発し、乗組員が回避行動を取るための十分な機会を与えます。このソリューションは、世界で最も海上交通量の多いシンガポール港で実証試験が行われ、成功しました。

写真 : Zinraiソリューションは、船舶衝突リスクを高度に予測することで、予防的で安定的な安全航行を実現。船員は、周囲の船とのニアミスリスクを正確に把握し、リスクスポットを予測することが可能

Zinraiソリューションは、船舶衝突リスクを高度に予測することで、予防的で安定的な安全航行を実現。船員は、
周囲の船とのニアミスリスクを正確に把握し、リスクスポットを予測することが可能

富士通のZinraiソリューションは、船舶の衝突リスクを軽減し、船舶事業の社会的責任と持続可能性の向上に貢献します。詳細については、こちらをクリックして下さい。
下記のビデオでも詳細をご覧いただけます。