5GとVRを使った「バーチャル災害体験」で、避難意識の向上を目指す

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「命を守る」意識を向上してもらうには?

日本で発生する災害は年々増加しています。東北や東日本を中心に甚大な被害をもたらした2011年の東日本大震災に代表される地震はもちろんのこと、近年は夏場に発生する台風や集中豪雨が大きな被害をもたらすことも多く、2018年7月の西日本豪雨や2019年の台風15号や19号は記憶に新しい所ではないでしょうか。

2018年の西日本豪雨の被害を重く見た内閣府は、防災気象情報に5段階の警戒レベルを明記して表示する方法を2019年から導入しました。警戒レベルを「災害への心構えを高める」レベル1から「命を守る最善の行動を取る」レベル5までの5段階で示すことで、直感的に理解しやすくしたものです。

この警戒レベルに則り、2019年6月に中国地方で襲った大雨の際、広島市は「全員避難勧告」を意味するレベル4を発令。しかし、実際に避難をした住民はわずか0.1%に留まり、住民の防災に対する意識の低さが浮き彫りとなりました。

図 : 全員避難勧告に相当する「レベル4」を発令にも関わらず、避難率は0.1%に留まった

全員避難勧告に相当する「レベル4」を発令にも関わらず、避難率は0.1%に留まった

VR+5G+8Kで360度パノラマ映像の「バーチャル災害体験」を実施

そこで、NTTドコモ中国支社と富士通は、啓発活動の一環として、5G回線とVRを活用した「バーチャル災害体験」を実施しました。これは、地域住民の方々に避難レベルの状況を認識・体感してもらうことにより、災害に対する認識を深め、防災意識を向上させることを目的としたものです。

実証実験は2020年3月5日、NTTドコモ中国支社(広島県広島市)において実施。NTTドコモが5G回線とVRゴーグル等の端末、8K360度カメラ等を提供し、富士通がVRコンテンツ、視聴アプリケーションの制作、実証実験の企画・運営を担当しました。

この「バーチャル災害体験」は、8K360度ライブ映像に豪雨災害を想定したコンピュータグラフィックス(CG)を重ね合わせることで、災害発生時に街の様子がどのように変化するのか映像視聴体験ができるというものです。VRを使うことで災害体験を自分ごととして捉えるだけでなく、映像画面上に防災や避難方法が文章で表示されるため、体験者の防災意識向上を図ることができます。

図 : 体験イメージ

体験イメージ

「バーチャル災害体験」の技術的な特徴は、大きく3つに分けることができます。1つ目はスマートフォンにインストールしてあるアプリ上で、CG映像をリアルタイムかつ360度パノラマ映像に追従しながら重畳することができるという独自性。2つ目は離れた場所でモノ・コトを体験するために、AR(Augmented Reality)ではなくMR(Mixed Reality)映像再生をスマートフォン上で行った優勢性。3つ目は5G回線の高速伝送を用いてライブ映像にCGを重畳した新規性および優位性です。

5Gだからこそ実現できた、8Kの高画質映像による臨場感

5Gには「多数同時接続」や「超低遅延」といった特徴がありますが、5Gと4Gの決定的な違いはその伝送速度にあります。5Gは高速大容量な通信が可能なため、4Gの数十~数百倍の伝送速度を達成することが可能です。4Gでも5Gと同程度の伝送速度を実現することはできますが、配信映像のサイズは大幅に小さくなるため、臨場感や映像の美しさは圧倒的に5Gが上だと言えます。従って、4Kや8Kといった高画質映像をリアルタイム配信するためには5Gネットワークが最適と考えられます。

図 : リアルタイム性を持たせた映像で災害を体感することが可能に

リアルタイム性を持たせた映像で災害を体感することが可能に

今回の「バーチャル災害体験」においても、5台の5G対応スマートフォンをセットしたVRゴーグルへ同時にライブ映像を配信し、高速大容量の5G回線を活用した複数端末での同時視聴が可能であることが確認できました。また、8Kの高画質な映像を使った360度映像視聴体験をすることで、災害をよりリアルに体感することに加え、防災や避難方法を学び、視聴者の防災意識向上を図ることもできました。

災害対策の啓発だけでなく、観光産業の活性化も視野に

今回の実証実験は防災にフォーカスしたものでしたが、5G回線とVRの技術を応用することで、地域課題の解決にも役立てると想定しています。例えば、観光地における環境変化、四季の移り変わりや潮の満ち引きによる風景の変化等を、5G回線とVRを使ってリアルタイムで体験。離れた場所にいながら、ガイドブックやWebだけでは得ることのできない生の情報に触れることができます。そのような体験を通じて人々に観光地に興味を持ってもらい、観光客誘致に繋げるといった使い方もできると考えています。

富士通では、観光や防災といった地域の課題解決に向けた利用に向け、現実世界と仮想世界をより密接に融合させる複合現実技術へ進化させ、その技術を富士通のエッジサーバと5Gでサービスを実現する予定です。富士通は、今後も安心安全な暮らしの実現に、テクノロジーの力で貢献していきます。