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2020年の展望:クラウドコンピューティングのテクノロジートレンド予測

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クラウドコンピューティングにおける最新のテクノロジートレンドは、どのようなものでしょうか? 2020年は、新たな10年の始まりでもあり、来る10年間に思いを馳せながらまとめてみることにしました。

しかし、その前に過去10年間を大局的に振り返ってみましょう。そうすることで、今後の見通しについても何らかのヒントが得られると思うからです。

手始めに、かの有名な巨大企業、アマゾンが擁するAWSについて見てみましょう。2006年に事業を開始したAWSは、2010年には5億ドル近くの年間収益を達成しました。これはゼロからスタートした結果として悪くない数字で、その成長トレンドはその後10年間にわたって続くことになりました。ウォール街の見立てによると、2020年の収益はおよそ500億ドルとのことなので、実に100倍の成長を果たしたことになります。これはまったくもって驚異的というほかなく、35%という昨年の前年比成長率を見ても、AWSの成長が止まる気配はありません。

マイクロソフトのアズールやグーグル・クラウド・プラットフォームの成長もそれほどひどいものではなかったものの、AWSはその支配的な地位を10年間維持し、さらに多くの面で強固なものとしてきました。

インターネットの優れた記録能力のおかげで、クラウドの未来に関する10年前のホワイトペーパーはクリック数回で見つけることができます。この記事でそれらをまとめようとするよりも、皆さんが実際に確認されたほうがいいでしょう。一見の価値があるものとしては、2010年にマイクロソフトが公開した英語の資料である「クラウドの経済性」をお薦めします。今から見ると、合っている部分と間違っている部分があるものの、重要なポイントは「クラウドサービスによって、ITグループは、差別化要素ではない作業を信頼できるコスト効率の高いプロバイダに任せて、よりイノベーションに集中できるようになるだろう」と記されている点です。

この洞察に関して、「結果として、以前には考えられなかった方法で新興企業や新たなビジネスモデルが実現された」という点にも異議を唱えることは難しいでしょう。たとえば、ウーバーやリフト、エアビーアンドビーや、過去10年間につくられたその他多くのクラウドを原動力とするユニコーン企業に象徴されるシェアリングエコノミーの世界では、クラウドベースのインフラストラクチャが大きな成長促進要因となってきました。

2030年に向けてクラウド業界がどの方向に向かって進むのかについては、AIのクラウド化やIoT、ブロックチェーン、宇宙向けクラウドコンピューティングなどの分野で色々と考えられます。しかし、ここでは、やや控えめで身近に感じられるかもしれませんが、私たちがしっかりと地に足をつけて物事を捉えられるようにするためのトレンドをまとめてみることにしました。

  • クラウド管理—この領域では、複数のクラウドアカウント間でより統合されたビューを求める顧客の需要が見られます。2019年、筆者が所属する企業の多くの顧客が、各種のクラウドネイティブツールやサードパーティーツールを統合しようとする動きが見られました。マルチクラウドの世界で主流となっているこうした動きは、実践的な洞察はもちろん、より重要なアクションを提案するうえでも有効だからです。クラウド管理テクノロジーの開発を手掛ける企業はこの10年間で成長を遂げましたが、さまざまな点で小さな規模に留まっており、いまだにユニコーン企業は現れていません。しかし、この状況は、向こう10年間で変わると考えられます。クラウドベースのインフラストラクチャの管理が、技術、経済性などを含むあらゆる面で、人間の介入や調整を必要としない水準に達したことが、その理由です。

 

  • マルチクラウド2019年に確実な普及を見せたマルチクラウドは、2020年も引き続き成長を遂げると確信しています。今やほとんどの組織がマルチクラウドを利用しており、筆者が所属する企業の顧客の間でも、ベンダー・ロックインへの懸念が低下すると見込まれているのです。また、目的別に特定のクラウドが利用される傾向も高まっており、たとえば、データ分析のワークロードであるクラウドプロバイダを利用しながら、開発環境や本番の運用環境はまったく別のクラウド上にあるというケースも見られます。

 

  • 自動化—クラウド管理の領域で私たちが目にしている自動化の流れを背景として、技術および経済管理スタックにおける自動化への需要も高まっています。企業では半自律型モードや、場合によっては本格的な自動化への移行が、これまでよりも抵抗なく受け入れられつつあるといえるでしょう。こうした企業の自動化のレベルを、自律走行車の分野で使用されている5段階の評価基準になぞらえる向きも多く、筆者もこの見方を好ましく感じています。たとえば、現在は多くの企業が、部分的な導入にあたるレベル2か、条件付きで運用するレベル3の状態で自動化していますが、クラウド管理の取り組みが進めば、このまま高度運用のレベル4や完全自動化を意味するレベル5に近いところまで進むと考えられるでしょう。

 

  • 抽象化レベルの向上—ノーオプスとも呼ばれるITの抽象化は、2020年以降も引き続き進むと思われます。サーバーレス、コンテナ、ソフトウェアで定義されるハードウェアなどの領域が拡大するという事実は、インフラストラクチャについて、直接エンジニアや開発者が考える必要性が次第に少なくなっていくことを意味するものです。運用の手間を減らして成果の実現に注力するというこうした流れは、すでに1つの明らかなトレンドであり、ここしばらくの間、このトレンドが続く可能性が高いと思われます。

 

  • コンテナが主流にアプリケーションのコンテナ化はもはやクラウドコンピューティングにおける新しい流行語というだけでなく、リソースがクラウドに展開される方法を変えつつあります。2019年もコンテナを利用する企業は増加の一途をたどりましたが、調査会社のESGリサーチの予測では、2020年中には、ハイブリッドなクラウドのワークロードの3割でコンテナが利用されるようになる見込みです。たとえば過去2年間で、アプリ・コンテナの運用自動化のために設計されたオープンソースのプラットフォームであるクバネティスは、一般に好まれるコンテナ・オーケストレーション・プラットフォームとしての地位を確立しました。また、別の調査会社の451リサーチは、アプリケーションコンテナ技術の市場規模が2022年には43億ドルに達し、コンテナをIT戦略の不可欠な要素であると考える企業が増えることを予想しています。

いつの時代も「三年先の事を言えば鬼が笑う」という格言が色褪せることはありませんが、それでもなお、新たな10年が始まりとなる2020年には、どうしても少し先の未来について考えたくなるものです。上記の予測はかなり確実だと考えられますが、それと同時に変化のスピードと規模が、この予測を超えるであろうことも確信しています。

 

この記事は Business2Community 向けにアンディ・リッチマンが執筆し、 NewsCred パブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。

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