新型コロナウイルスと闘う、医療・自治体の現場② 東京都港区、「相談チャット」で区民の不安に24時間応える

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新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るう現在、先の見えない状況に多くの人々の不安が続いています。自治体や保健所、医療機関へは、感染症に関する問い合わせが急増。
多くの自治体では、保健所等に相談窓口の設置や専用の相談ダイヤルを設ける等、少しでも住民の不安を軽減できるように対策に努めていますが、電話が繋がりにくい、対応に追われて自治体職員の負荷増大という事態も起きています。

住民に適切な情報をお届けするために、チャットボットを活用した東京都港区の取り組みを紹介します。

目次


新型コロナウイルスの感染拡大で、区役所(保健所)への問合せが急増

東京都港区では、新型コロナウイルスの区民への情報提供として、帰国者・接触者相談センターを設置し相談対応を実施しています。2月中旬から1日に100件を超える問合せが続き、3月下旬から感染者数の増加と共に相談件数も激増しました。

図 : 港区における感染者数推移、3月下旬から感染者が急激に増加(東京都港区ホームページより)

港区における感染者数推移、3月下旬から感染者が急激に増加(東京都港区ホームページより)

問合せ内容は、健康面の不安に限らず多岐に渡り、担当者が一人ひとりの状況に応じて回答するケースも多くあります。新型コロナウイルス発生後、以前よりも対応に時間を要しているのが現状でした。

<港区に寄せられた問合せ(一部)>

  • 新型コロナウイルス感染症とは
  • 医療機関受診の目安
  • 自粛の行動範囲について
  • 施設利用の再開、中止について
  • 小学校・中学校、高等学校、特別支援学校に関すること
  • テレワーク、時間差通勤に関すること
  • 保育園が臨時休園になった場合の保護者の休暇取得支援について 等

区役所の各部門では、区民・事業者・在勤者を対象に迅速な対応に努めています。しかし、通常の業務に加えて、新型コロナウイルスの感染症対策ならではの問合せが日々増加。電話だけでなく窓口を訪れて相談をされる方も増え、職員の負荷が高まり限られた人員の中での対応では厳しい状況が続いていました。

依頼から10日で「新型コロナ相談チャット」を構築、サービススタート

2020年3月17日、東京都港区区長室から、新型コロナウイルスの相談対応の自動化を早期に実現したいと要請を受けました。そこで、区民サービスの向上と職員の負荷軽減を考慮し、富士通が提供するクラウドベースのサービス基盤「CHORDSHIP(コードシップ)」を活用したチャットボットの仕組みを導入し、24時間自動応答を実現することになりました。

富士通は、この技術と手法において、過去にも西日本で発生した豪雨「平成30年7月豪雨」、北海道で最大震度7を観測した「平成30年北海道胆振東部地震」における住民向け行政施策の自動応答システムとして導入した実績があり、その効果も確認できていました。

そのため、2020年2月下旬から活動をスタートしている、富士通の「新型コロナウイルス感染症対策チーム」のコアメンバーは、災害支援時の緊急対応や自治体職員が必要最低限用意すべきものは何かを素早く示すノウハウがあり、東京都港区の環境構築にあたっても、約1週間で設計からプロセス、FAQのチューニングを実施。2020年3月26日には東京都港区トップページから相談チャットボットを公開することができました。

港区の区長室の動きも非常に迅速でした。当時は、各担当課で問合せ対応が発生しており、感染症対策の変化があまりにも早いため、FAQの最新化や共有面でタイムラグが発生する等の課題がありました。そこで、区長室が中心となり、各担当課を横断してFAQを収集し、更新の調整を始めました。
さらに、FAQは用意するだけでなく、利用者が迷わず回答にたどり着くためには、カテゴライズが重要になります。

そこで、区長室広報係の佐藤哲也さんは、利用者が迷うことがないように行政分類であったカテゴリを区民の利用者目線で再分類しました。「区民の方に、速く・正確に・適切な情報をお届けしたいという使命感から緊急対応に臨みました」と佐藤氏は語ります。

図 : 港区が提供する「港区新型コロナウイルス相談チャット」(東京都港区ホームページより) ホームページトップに表示されたチャットボットをクリックすると、質問カテゴリを表示。区民は自分が知りたい内容を選択したり、自由に質問を入力したりすることで簡単に回答を探せる。

港区が提供する「港区新型コロナウイルス相談チャット」(東京都港区ホームページより)
ホームページトップに表示されたチャットボットをクリックすると、質問カテゴリを表示。区民は自分が知りたい内容を選択したり、自由に質問を入力したりすることで簡単に回答を探せる。

チャットボットによる自己解決率8割、窓口時間外の問合せ4割

実際に公開すると、寄せられた問合せ件数に対し約8割を自動応答できており、現場職員の負荷軽減と区民サービスの向上が確認できています。

また、寄せられた問合せのうち約4割が窓口時間外だったことが分かり、土日や夜間にスマートフォンで質問したいという要望が多いことも分かりました。さらに、直接の電話や窓口では相談しにくいような内容でも、チャットボットだと素直に相談ができるため、区民が今何に困っているのかという本音を知れる機会にも繋がっています。

日々変化する状況に応じたFAQの更新、追加がカギ

新型コロナウイルス感染症対策では、感染状況も日々変化します。その対策も専門家会議の提言を受け、制度も施策も緊急で追加や見直しが行われます。そのため、一度作ったFAQであっても、状況の変化に応じて内容を更新や追加の必要がありました。

東京都港区では、区民から寄せられる問合せと対応ログを、区長室が分析し新たに追加するFAQの候補を検討。各担当課と迅速にFAQ内容を確認し、更新、拡充を行っています。

佐藤氏は、「区民等から寄せられる問い合わせと対応ログを確認・分析することで、利用者のニーズを的確に把握することができています。そのニーズに迅速かつ適切に対応するため、日々、チャットボットを最新情報に更新しています。チャットボットの更新作業は大変ですが、利用者からの問い合わせの中に感謝の言葉があると、仕事の励みになっています。引き続き区民や利用者の方に最新かつ有用な情報を発信できるよう積極的に取り組んでまいります。」と述べています。

同じく区長室の岡本氏は、「チャットボットは24時間利用でき、質問に対して即座に回答できるため、利用者が求めている回答が得られれば非常に満足度が高いサービスだと感じています。今後の課題は新型コロナウイルスの状況を踏まえたFAQの更新です。先日は、新型コロナウイルスの症状等に関するFAQをより一層充実させたいとの区の要望に対して、富士通さん同席のもと、みなと保健所に直接出向いて、よくある電話問合せ等のFAQの作成をサポートいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。緊急事態だからこそ公務員として果たすべき役割を常に意識しながら今後も情報発信を続けていきたいと思います。」と抱負を語りました。

写真 : 港区区長室 広報戦略担当係長岡本和也氏、広報係佐藤哲也氏

港区区長室 広報戦略担当係長 岡本和也氏、広報係 佐藤哲也氏

東京都港区の「新型コロナウイルス相談チャット」は、住民の方々へ最新情報を提供していくために、日々成長し24時間自動応答による貢献をしていきます。

富士通の新型コロナウイルス感染症対策チームも、港区様と共にチーム一丸となって、これからも住民の皆様により良いサービスを提供できるようご支援してまいります。