AIで向上するCX改善の5つのポイント

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カスタマーエクスペリエンスにおけるAIの役割

2020年の現在も、空飛ぶ車や瞬間移動、時間旅行などの未来的なテーマに関しては、まだ一部の科学者や専門家が思い描いていたレベルにはないことを、ほとんどの人が認めるところでしょう。とはいえ、私たちが現在手にしているテクノロジーやコンピュータの能力は、20年前と比べればはるかに進んだものです。

しかし、その中には、多くの人々を食傷気味にしているものがあり、AIもその1つといえます。

AIとは、知能や人間のような認知機能を有するコンピュータやシステムを指します。たとえば、すでにAIは、音声認識、問題解決、学習、計画立案などの分野で活躍中です。

AIは基本的に、人間の脳の神経網、つまり配線のように連結されたニューロネットワークを機械の中に作成し、人間が機能したり思考したりする仕組みと同様の処理を行えるようにしたものだといえるでしょう。

AIが役立つ領域は多数あり、私たちが日常生活で使用するものの中にも、少なからず何らかの形で組み込まれています。

たとえば、アマゾンのアレクサに料理のレシピや歌のタイトルを尋ねたことがあれば、それがAIであり、アップルのシリも同様です。また、最近どこかへ行くときに、スマートフォンでグーグルマップを使って道順を調べたとすれば、そこでもAIが利用されていて、経路上の車の流れや台数を基に、移動にかかる予測時間を教えてくれます。

その他の例として、ウーバーのようなライドシェアアプリや銀行のモバイルアプリのほか、電子メールのスパムフィルターのようなシンプルな機能にもAIが使われているのです。

では、カスタマーエクスペリエンスの向上に熱心なCX担当者は、どうすればAIをうまく使いこなせるのでしょうか?

これほど技術的に進んだ時代において、AIはすでに社会に浸透していると考えて間違いありません。とはいえ、カスタマーエクスペリエンスの分野では、どのようにAIの能力を採り入れれば成果が期待できるのでしょうか? 具体的には、AIを活用して仕事の負荷を減らしながら、顧客維持率の向上、肯定的なレビュー、収益の拡大に役立てるにはどうすればよいのかということです。

この観点から、以下に、カスタマーエクスペリエンス向上のために、AIを活用してより多くの成果を上げ、より大きな成功を手に入れるための5つの方法をご紹介します。

1. 顧客へ送るアンケートの数を減らす

顧客は、受け取るアンケートの多さにうんざりしています。普段、個人が何らかの形でやり取りを行っている会社や店の数がいくつあるかを考えてみてください。私の場合、ありのままをお伝えすると、思い浮かぶのは少なくとも通常は1日あたり3回程度に過ぎません。つまり、朝食、昼食、帰宅途中で、コンビニかどこかの店で買い物をするときくらいのものです。

これらの場所の担当者が、それぞれ、私が訪問するたびにアンケートを送ってきたら、1週間に少なくとも21回のアンケートを受け取ることになります。それは少々極端な例かもしれませんが、私が同じ場所に何度も足を運ぶなら、その店では、どうにかして重複した私の名前を削除して、送りつけるアンケートの数を最小限に留めることでしょう。もう、何が問題かおわかりですね?

AIソリューションは、組織が過去の顧客やアンケートのデータから自動的にパターンや傾向を抽出できるようにして、アンケートによる顧客の疲労を解消します。このことは、すでにアンケートを記入し終わった顧客だけでなく、記入を終えていない顧客にも、そしてまだ顧客になっていない人にとっても重要です。これから受け取るかもしれないアンケートの数が、少なくて済むわけですから。

このようなAIの能力を利用すれば、数多くのアンケートを送らなくても、カスタマーエクスペリエンスを向上させることができ、また、どこで失敗する可能性があるのかをより深く理解できるようになります。良い体験だったか、そうでなかったかを直接顧客に聞かなくても、AIが他の人々の体験から学んで推測してくれるためです。そうなれば、AIから得られた知見を活かして、CX向上のための活動計画を立案することが可能となるでしょう。

2. 顧客離れを減らす

先ほどの指摘と似ていますが、AIは顧客離れを減らすのに役立ちます。AIは、提供されるすべてのアンケートデータを利用して、顧客離れを起こす共通の特徴や体験を特定することができるからです。

CX担当者は、AIを使って、対象となるグループの規模の大小によらずパターンを自動的に検出し、離れていきそうな顧客を正確に特定することができます。

そして、こうした情報を利用することによって、顧客の不安を和らげるための対策を前もって講じながら、特定の機会にカスタマーエクスペリエンスを向上させる施作を打つことができ、引き続き顧客の支持を得るチャンスが得られるのです。

その結果、顧客離れを減らして収益を高めることが可能となります。

3. より豊富で有益なデータを集める

アンケートへの回答は、顧客がブランドに関する自らの体験について思ったことを知らせるための一方通行のコミュニケーションに過ぎません。一方で、顧客がソーシャルメディアなどの別の方法を使って自分の考えを共有することも、よくある話です。

考えてみてください。ツイッターやフェイスブック、または別のソーシャルメディア上で、特定の航空会社やレストラン、店舗での体験についてだれかが投稿した文章を、これまでどれほど目にしてきたでしょうか? 加えて、こうした比較的「受け身」のレビュー以外にも、グーグルやイェルプなどが運営する、レビューに特化したサービスサイトに、どれだけ多くのコメントが寄せられているでしょうか? これらも貴重な顧客の声なのです。

AIを利用すると、SNSへの投稿も含めて、アンケート以外のすべてのデータ、つまり「非構造化データ」と呼ばれる文章データの内容をすべて確認し、アンケートの結果と合わせて分析する機会が得られます。そのようにすれば、顧客が提供を受けた体験について本当はどう感じたのかを、より大きな全体像としてとらえることができるわけです。

AIは、非構造化データの分析以外に、アンケートそれ自体からも、より多くの洞察を引き出すうえで役立ちます。AIツールは、顧客をより深く考察し、その体験についてより多くの洞察や情報を導き出すために利用できるということです。

アンケートによくある自由回答形式の質問を前にすると、回答者は、詳細を省いた短いコメントを残すか、悪くするとノーコメントということもよくあります。しかし、AIを利用すると、オンラインのアンケート中に、それまでの単語数や内容、その他の要素に基づいて、さらなる入力を促すようにカスタマイズされた表示を行い、トピックに関してもう少し多くのコメントを残すように回答者を「後押し」することも可能となるのです。

このようなテクノロジーの中には、内容のポイントを動的に認識して代わりの質問を作り出し、より充実したフィードバックを引き出そうとするものさえあります。デジタルアンケートを実施しながら、回答のさまざまな側面について自動的に顧客を考察できる点は、さながら対象となる人物を詳細に観察して掘り下げる、人間のインタビュアーのようです。このようなAIテクノロジーは、1つのアンケートからでも、より多くのフィードバックと詳細な情報を合わせて提供できることを実証しています。

CX担当者は、顧客から直接得られたテキストベースの補完的なフィードバックが、カスタマーエクスペリエンスを向上させるプロセスにおいてきわめて重要であることを経験的に知っています。AIを利用することによって、このプロセスを強化できるチャンスを見逃してはならないのです。

4. 複雑で圧倒的な量のデータを理解する

カスタマーエクスペリエンスに関する標準的なアンケートから得られるデータの量には、圧倒されることがよくあります。そういう場合にも、データを分析して理解するために役立つのが、AIです。

AIベースのデータマイニングのアルゴリズムは、データセットのパターンと主要な指標の向上に役立つ重要な領域を、わずか数秒で特定して分析できます。

手作業では何千時間もかかる分析が、ボタンをワンクリックするだけで完了し、エクスペリエンスデータに隠れていることの多い、価値の高い洞察が得られるのです。

AIは、顧客が特定の状況や体験にどのように反応する傾向があるのかについて、詳細な情報を迅速に提示することができ、手作業では絶対に気付かなかったようなパターンを特定してくれます。AIがデータの構造化を支援することによって、そのデータはさらに意味あるものへと変わり、一層実用的な情報となるのです。

その結果、集められたデータの、より有効的な活用が可能になります。

5. エクスペリエンスを広い範囲で向上させる

人々がAIと聞いて思い浮かべるのは、チャットボットや、Webサイト上の電子的なアシスタントツールやコミュニケーションツールのようなイメージかもしれません。

サイトにアクセスすると、ウィンドウの端に吹き出しが現れ、「何かお困りですか?」と問いかけることがありますが、それも典型的なAI対応のテクノロジーの1つです。このようなバーチャル・アシスタント・テクノロジーや、エクスペリエンスベースのチャットボットは、必要に応じてカスタマーエクスペリエンスを調整したり、起こりそうな問題を前もって緩和する対策を講じたりするうえで有用といえます。

さらに、このようなAIテクノロジーは、生活空間や職場にいる顧客から調査データを収集するうえでも役立ちます。これらのボットは、作業中にひょいと現れて、物事がうまく進んでいるかを尋ねたり、不安を和らげるために役立つ提案やヒントを提示したりできるからです。また、人に正しい手順を示したり、人とやり取りせずに必要な情報を提供することもできるようになります。

組織にとってのメリットは、顧客からの些細な質問や情報の要求への対応で時間を取られる人の数を減らせることや、顧客がより迅速に情報を得られることです。そして、ほとんどの場合において、より優れたカスタマーエクスペリエンスの実現につながります。

「AI」という言葉の意味はたいへん広く、多くの人にとっては、未知のものに共通した恐ろしさや圧倒される雰囲気のあるテーマかもしれません。しかし、その本質を理解して効果的に活用すれば、実際にはカスタマーエクスペリエンスの向上につながり、大いに役立つツールになります。

これからのカスタマーエクスペリエンス計画を、どのように構築するか? データからより多くの洞察を引き出すには、どうしたらよいか? そして、より優れた成果を生み出すための次のステップは何か? そうした課題を検討する際には、ここで採り上げたトピックを反映させることを、ぜひ考えてみてください。

そうすれば、長期的に見て時間と労力の節約になり、継続的に顧客を満足させていくことができるようになるはずです。

 

この記事はBusiness2Community 向けにメリッサ・ハーレットが執筆し、 NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。

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