オルタナティブデータで差がつく2020年のビジネス

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Webデータの分析会社であるインポート.ioゲイリー・リード氏によると、金融業界の先例に追従するように、オンライン小売分野や旅行分野をはじめとするさまざまな業界で、Webオルタナティブデータソリューションに関心を寄せる企業が増えているといいます。Webオルタナティブデータとは、IoT機器、SNS、衛星画像、POS等から得られる、Web上の構造化された独自のデータセットのことを指し、今後、顧客分析、市場動向分析、競合優位性の構築などに用いられようとしています。

たとえば、マネジメント関連のコンサルタント企業であるオピマス社のアナリストチームは、Webデータの集積を目的としたユースケースの急速な拡大に伴ってオルタナティブデータへの投資も増えており、2020年には70億ドル近くに達するだろうと指摘しています。

以下に、2020年にリード氏が注目するオルタナティブデータ関係のトピックをまとめてみました。

LinkedInとHiQ間の訴訟の判決を受け、多くの企業がWebデータ分析活動をより大胆に進めるようになる

LinkedInとHiQ間の訴訟では、ビジネス系SNSであるLinkedInで一般公開されている会員のプロフィールデータを、企業支援サービスを提供するHiQがスクレイピング、つまり情報抽出して自社のビジネスに利用していたことの是非について争われました。裁判所は、HiQによるスクレイピングについて問題ないとの判断を下しています。この件に関するリード氏の見解は、次のようなものです。

「今回の訴訟の判決では、Web上の公開データを収集し分析する権利が認められました。この裁判所の判断を受けて、2020年以降は多くの企業が、外部ソースからWebデータを収集する活動をより大胆に進めるようになると思われます。今や企業は、Webデータを収集することに違法性はないとのお墨付きを得たと感じており、Webデータの集積がもたらすチャンスと、得られる競争優位性を活かそうとするでしょう。」

2020年は不動産業界でもオルタナティブデータを導入する企業が増加する

この点について、リード氏は次のように述べています。

「小売分野や旅行分野の企業は、すでに業界内での競争力をもたらすWebデータの有効性に気付いています。そのため2020年には、それらの分野と類似点が多い不動産業界も、さまざまな規模の企業がWeb上で入手可能な一般公開データを活用し始めることでしょう。不動産会社は、すでに小売業界や旅行業会で使われている手法を流用して、多面的にWebデータの利用を開始できるからです。たとえば、収益の最適化、消費者心理の分析、競合他社の価格設定調査に加えて、他にも多くの可能性が考えられます。」

2020年は多くの企業がデータ分析を「賢く」利用するようになり、そのためのWebデータ集積ツールの導入が拡大する

これに関するリード氏の分析は、次のとおりです。

「現在、多くの企業がWebデータを収集していますが、その精度を高めるデータクリーニングが行われていない無秩序な状態でデータサイエンティストに渡されるため、実際に分析できる状態にして標準化する作業に何時間もかかっている状態です。これでは、極めて有益なビジネスインテリジェンスを引き出すために使えたはずの時間が、データの準備に費やされていることになります。しかも、多くの企業がWebデータから競争に役立つ洞察が得られる可能性に期待しているにもかかわらず、その実現に必要とされる完全なデータ分析プロセスをおろそかにすることさえあるのです。従来型のWebスクレイピングサービスも、データを収集するばかりで分析まで行うことはありませんでしたが、そのような状況は変わりつつあります。このため、2020年には多数の企業が、インテリジェントなデータのクリーニングと標準化を自動的に行ってデータサイエンスチームに受け渡す機能を備えた、賢いWebデータ収集ツールを導入することでしょう。それによって、収集したデータを手作業で調整する必要がなくなり、多くの洞察をもたらしてくれる分析処理に、より多くの時間をかけられるようになるはずです。」

2020年はWebデータを絶えず検証して安全性を確保するようになり、その検証の自動化が常識に

この予想について、リード氏は次のように指摘します。

「実際のところ、現在のWebトラフィックのうち人間によるものは60%に満たない状況で、残りはソフトウェアによる自動巡回やデータ収集に伴うものです。Webオルタナティブデータが注目されることで、これまで競合他社のWebデータを利用して有益な情報を得てきた企業が、今度は競合他社も同様のWebデータの偵察を行うようになりつつある現状に警戒していることは間違いありません。Webスクレイピング技術は、すでに多くの企業で採用されていますが、2020年は、新たなセキュリティー対策を導入することによってデータの質を精査し、その有効性を保証する作業に取り組む企業が増えることが見込まれます。このような新しいトレンドによって、企業はデータセット内の不備を発見でき、それを取り除くことで、より有益なビジネス上の洞察を得ることが可能となるでしょう。」

2020年には旅行会社がWebデータからの洞察を広く導入する

旅行業界に目を向けて、リード氏は次のようにいいます。

「旅行業界のデジタル化、そして、ライドシェアサービスの台頭やおもてなしの強化、アトラクションの増強などの多角化が進む中で、この分野のビジネスは徐々に複雑化しており、旅行会社もWebデータからの洞察を活かして競争力を維持する必要がでてきました。かつては、誰もが旅行代理店を通して旅行の予約を行っていたものですが、今やWeb上で行きたい場所を探し、オンラインの価格比較サービスなどで予約を済ませる人も増えています。インターネットが人々の休暇のあり方を大きく変えたことを踏まえ、旅行会社が絶えず時流に乗っていこうとするならば、データに基づく洞察は顧客戦略上の重要な要素に他なりません。この業界が市場と競争の状況をより深く理解できるようになるためには、すべての旅行会社が上質なデータを大量に使用してビジネスの先行きに関わる情報をすべてを洗い出し、有効に活用するための分類法を構築する必要があります。したがって、競争力の維持を目指す旅行会社は、2020年にこぞってWebデータ収集ツールの導入に踏み切ることでしょう。」

教育機関や政治団体もWebデータを活用し始める

最後のポイントである教育や政治分野での応用について、リード氏は次のように予測しています。

「顧客心理を明らかにすることは、Webデータ分析がもたらすメリットの中でも、とりわけ有効で、多くの洞察を与えてくれるものの1つです。現在、高等教育機関と政治団体はどちらも若年層の支持を得ようと努力していますが、このターゲット層は、ほぼ例外なく、毎時間あるいは毎日のようにWebメディアやソーシャルメディアを利用しています。若年層の意見を明らかにしてくれるWebデータの力は、教育機関や政治団体にとって非常に貴重なものといえるでしょう。この2つの業界のWebデータ利用に関する事例は、小売、旅行、金融の各業界のそれよりも周期的で季節や選挙期間に依存するところがあることは事実です。それでも今後は、両業界がWebデータを活用して、そのリーチや収益を拡大することが予想されます。アメリカでも日本でも、政治的激動期を迎えると見られる2020年には、特にそうなる見込みが高いといえるでしょう。」

 

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