自動運転バスの配車サービスを自動化、奈良市「平城宮跡歴史公園」で実証実験スタート

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2020年3月から、いよいよ5Gの商用サービスが始まろうとしています。5Gの商用化で期待されるものに「スマートシティ」があります。奈良県奈良市は、国土交通省が提唱しているスマートシティ化の一環として、2019年3月から「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」として実証実験をスタート。AIやIoTなどの新技術を活用し、公園の抱える課題の抜本的な解決や利用者へのサービスの創出により公園の魅力向上を目指しています。

国交省が推進する「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」とは?

平城宮跡歴史公園は、奈良市内に広がる特別史跡「平城宮跡」を中心とした国営公園で、奈良時代の遺跡が保存・復原された公園です。平城宮は1300年前の日本の首都(中心地)であり、「ユネスコ世界遺産」にも指定された「古都奈良の文化財」の構成資産の一つです。

この地を舞台に展開している「平城宮跡歴史公園スマートチャレンジ」は、産学官コンソーシアムのもと、AI (人工知能)やIoTなど先進的なテクノロジーを用いた、様々な実証実験が実施されています。

具体的には、「新たなモビリティサービス」「AR技術を活用した歴史体験サービス」「アプリケーションによる公園情報の受発信サービス」「クラウドによる施設管理の効率化」「データプラットフォーム」など6つのテーマのもと、2019年10月から実証実験が順次スタートしています。テーマの一つ「新たなモビリティサービス」では、自動運転バス「マイクロ・ロボットタクシー」を活用して、安全かつ効率的な園内移動の実現を目指した取り組みが進められています。

平城宮跡歴史公園で走行する「マイクロ・ロボットタクシー」は、2016年にアメリカ・シリコンバレーで創業されたスタートアップ企業PerceptIn Japan(パーセプティンジャパン)合同会社が開発した8人乗り自動運転のLSEV(低速電動車両)です。自社開発した自動運転用のシステムとセンサーを、最大時速20キロ程度で走行可能な電気自動車に搭載した車両で、セーフティードライバーを配備し公園内を自動運転で回遊します。

「マイクロ・ロボットタクシー」は、LiDAR(光センサー技術)や高精度3Dマップを使用せず、GPSとコンピュータビジョン(カメラ)の情報を統合する独自のソフトウェア技術によって自動運転を実現しています。

写真 : 自動運転バス「マイクロ・ロボットタクシー」で広大な園内を回遊

自動運転バス「マイクロ・ロボットタクシー」で広大な園内を回遊

利用者の多い停留所を効率的に回るバス配車サービスの自動化を検証

自動運転バスの運行を開始したものの、その運用には課題もありました。先着順の乗車としていたため、公園内の回遊コースに設置された3つの停留所では、予約受付担当がトランシーバーで連絡を取り合いながら各停留所の乗車可能人数をカウントして乗車を調整。利用者にとっては、「ロボットタクシーが停留所に到着したけれども満席で乗れない」「その後もいつ乗れるかも分からない」という問題が生じていました。

パーセプティンと富士通は、2019年6月3日より開始したFUJITSU ACCELERATOR(注1)第7期へのパーセプティンの参加をきっかけに、「マイクロ・ロボットタクシー」と「オンデマンド交通サービス」を連携させることで、地域における交通サービスやビジネスモデルを両社で模索してきました。

そこで、富士通の「オンデマンド交通サービス」(注2)によって、自動運転で回遊する車両を複数停留所での乗降ニーズに応じ効率的に配車することが可能になるか検証することになりました。

図 : 自動運転バスの回遊ルートと停留所

自動運転バスの回遊ルートと停留所

このサービスにより、園内を自動回遊する「マイクロ・ロボットタクシー」の現在位置や定員人数といった情報と、利用者の人数、時間、乗降する停留所といった予約情報を「オンデマンド交通サービス」上でマッチングさせます。

また、各停留所の予約受付担当が使用する、乗車定員に応じた予約受付や、運行車両の予約情報管理、位置情報管理のためのオペレータアプリを提供。さらに、セーフティードライバーが使用する各停留所で乗降する予約情報閲覧や、乗降者を管理するためのドライバーアプリも提供しています。

図 : 「オンデマンド交通サービス」により、利用者の予約や配車、定員管理、車両位置情報監視を実現

「オンデマンド交通サービス」により、利用者の予約や配車、定員管理、車両位置情報監視を実現

(注1)FUJITSU ACCELERATOR:
革新的なスタートアップの技術・製品と富士通グループの製品・ソリューション・サービスを組合せ、世の中へ新たな価値を提供することを目的に、豊富な顧客基盤を持つ富士通事業部門とのマッチングによる新たな事業機会の創出を目指す取り組み。

(注2)正式名「FUJITSU Future Mobility Accelerator オンデマンド交通サービス」。

自動運転によるモビリティサービスを強化しスマートシティの実現へ

この社会実験は、すでに2020年1月18日、19日、2月1日、2日に実施されています。実際に乗車したお客様からは「広大な施設のため移動は一苦労でしたので助かった」「乗降アプリが便利だった。今後は自分で乗降を決める時代が来るんだと実感した」「歩行者が近づいた時、しっかり自動停止したので安心感をおぼえた」などの声がありました。

この実験は、今後も2020年2月15日、16日、29日、3月1日に実施される予定です。

富士通では、この検証結果を基に、今後も「オンデマンド交通サービス」による自動運転車の呼び出し、無人での確実な乗降管理の遂行など、地域活性化に貢献するモビリティサービスの提供に取り組みます。そして人々が暮らしやすいスマートシティ実現に向けてICTで貢献していきます。