AIによる収益アップのポイントは複数業務への利用拡大

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AIは、企業の業績に寄与しているのでしょうか? これは興味深い質問ですが、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの最新調査によって、実際に寄与していることが明らかになりました。この調査では、回答者の63%AI導入後に収益が増加したと報告しています。その反面、AIの導入が複数の事業部門にわたって行われている企業の割合は30%に過ぎず、昨年の21%から、わずか9ポイントの上昇に留まったのです。

とはいえ、全体的に見て、AIの普及は拡大傾向にあります。さまざまな国の業界ビジネスリーダー2,360人を対象とした上記のオンライン調査の結果、通常業務におけるAIの普及率が25%近くまで増加していることがわかったからです。

また、同調査では、業務にさまざまなAIシステムを取り入れている企業とそうでない企業の著しい違いが数多く明らかになりました。

AIを大規模に導入する企業ほど収益性向上

同調査で「ハイパフォーマー」または「AIパワーユーザー」と見なされた企業が、平均して11のユースケースにおいてAIを導入しているのに対し、それ以外の企業のユースケース数は平均3つでした。しかも、ハイパフォーマーは、AIの採用によって10%を超える増収を報告する傾向が高くなっています。

同じく調査結果のレポートによれば、「全体を見ると、回答者の44%が、AIを採用した部門で導入によるコスト削減効果があったことを報告している。そして、他の回答者に比べてハイパフォーマー層の回答者は、AIの導入による事業部門のコスト削減が平均10%以上見られたと答える傾向が4倍高い」とのことです。

加えて、特にAI活用による増収があった領域として挙げられたのは、マーケティング、営業、サプライチェーン管理、製品開発分野でした。

これと似た結果は、2019年にマイクロソフトの委託で行われた、「AI活用の格差に関するビジネスエグゼクティブ調査」からも得られています。また、総合コンサルティング会社のアクセンチュアによる調査結果も、これらと軌を一にしています。その調査によると、AIを大規模に導入する方法を見いだした企業の割合は、全体のおよそ16%強であり、残る70%以上の企業が、AI利用に長けた競合他社によって廃業に追い込まれる恐れがあるとのことです。

さらに、80%を超える回答者が、今後3年間で従業員の一部を再教育する予定だと答えている一方で、AIハイパフォーマー層の企業は、すでに過去1年間で多くの従業員に対する再教育を実行済みである傾向が高いこともわかりました。

調査レポートによると、「自社のAI戦略が企業戦略に沿ったものであると答えた回答者の割合が、AIハイパフォーマー層では72%に上ったのに対し、その他の企業では29%であった。同様に、ハイパフォーマー層ではAIをサポートし実現するための明確なデータ戦略を持つ企業が65%だったのに対し、その他の層では20%に過ぎなかった」とのことです。

そして、AIハイパフォーマー層の企業は、平等性や公平性、物理的安全性、サイバーセキュリティー、国家安全保障のようなAIリスクに対する考え方についても、他の企業とは一線を画していました。というのは、個人のプライバシーに対するリスクを考慮しているハイパフォーマー層の割合が80%だったのに対し、その他の層では半数を切っていたからです。

AIに関するリスクについてさらに見ていくと、回答者の39%がAIの判断の根拠を説明できることへの必要性を認識していたものの、現実にその問題に積極的に取り組んでいると答えたのは、わずか21%でした。

AIによる失業の現状と未来

現状では、AIが直近の目立った失業につながったという結果は出ていません。全回答者のうち3分の1以上が、社員数の変化は3%未満だと報告しており、10%を超える変化を報告した回答者の割合はわずか5%に留まっていたのです。

しかし、この状況が変わる可能性もあります。回答者の34%は、今後、AIによって社員は減少するだろうと答えているのです。反対に、AIによって社員が増加するだろうと答えた回答者の割合は21%でした。レポートによると、AIを原因とする最も深刻な人員削減を経験したのは通信業界や自動車業界の回答者であり、これらの業界は今後も大きな影響を受けるグループの先頭に立つものと考えられます。

米シンクタンクのブルッキングス研究所が先日発表したレポートでは、AIの影響が最も大きいのはIT業界などの高給ホワイトカラーの仕事であるのに対し、食品サービス、教育、医療などの業界では、AIのプラスマイナスどちらの影響もほぼ受けていないことがわかっています。この調査結果を意外に思われるかもしれませんが、IT業界は他の業界よりも先に新たなテクノロジーを導入する傾向が高いことが影響しているかもしれません。いずれにしても、企業が事業を継続していきたいのであれば、来るべき未来に向けて社員を再教育し、大規模なAIの導入に備えるべきといえるのです。

 

この記事はVentureBeatのカリ・ジョンソンが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。

 

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