デジタル社会をリードするDX戦略とテクノロジー

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これからの企業経営には、デジタルトランスフォーメーション(DX)が欠かせないという認識がいよいよ高まっています。

DXを実現するためには、ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとテクノロジーを活用して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革することが必要となります。さらに、DXを通して従来の企業文化までを変革し、そこから安定した収益を得られるような仕組みを作ることも見据えなくてはなりません。

なぜ今DXが必要なのか改めて整理した上で、DXの時代に必要なテクノロジーの価値を示していきます。

既存システムの老朽化、消費活動の変化
デジタルディスラプションへの対応が急務

富士通はデジタルトランスフォーメーション(DX)が企業でどれほど取り組まれているかを把握するため、2019年2月に世界のビジネスリーダーに対し独自の調査を実施しました。それによれば、87%が過去3年以内にDXの検討、試行、実践を行ったと回答しています。 業種別では、金融業と運輸業が最も進んでいることが分かりました。(図1)

図 : 図1 世界のビジネスリーダーに調査したDX取り組み状況 (富士通「グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート 2019」より)

図1 世界のビジネスリーダーに調査したDX取り組み状況
(富士通「グローバル・デジタルトランスフォーメーション調査レポート 2019」より)

では、なぜこれほどまでにDXへの関心が高いのでしょうか。理由は3つ考えられます。

1つ目の理由は、既存のレガシーシステムの延長では企業の成長に限界が見えているからです。経済産業省のDXに向けた研究会では2018年9月にまとめた報告書「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」の中で、老朽化した既存の基幹システムがDXを推進する上での障壁になること、さらには2025年までにシステムの刷新をしないと年間で最大12兆円の経済損失が発生する可能性があることを指摘し、関係者に衝撃を与えました。一方で、クラウドやIoTなどのデジタル技術は急速に進化しており、自社で資産を持たずに、比較的安価にシステムを使える環境が整いつつあります。まさに今、これらの技術を活用して、ビジネスモデルの変革や新たなビジネスの創出を考える時期に来ているといえます。

2つ目の理由は、消費者の消費活動の変化です。「モノ」から「コト」、そして「所有」から「共有」へといった消費者心理の変化は、例えばカーシェアリングの登録者数の増加などを見ても明らかです。人々は「車を所有すること」ではなく、「車を利用することで得られる体験」に価値を見出すようになりました。単に「モノ」を売るのではなく、「コト」を提供することにシフトするためには、当然、企業としてのビジネスモデルを変える必要があり、情報システムの見直しも必要となります。

そして3つ目の理由は、すでにいろいろな分野で進むデジタルディスラプション(注1)に対応するための有効な手段がDXだということです。例えば、米ウーバー・テクノロジーズは一般のドライバーをタクシードライバーに採用することでタクシー業界に破壊的なイノベーションを起こしました。
こうしたデジタルディスラプションは程度の差はあれ、多くの業界で起きています。そして、デジタルディスラプション後の再構築されたビジネス環境の中で、各企業が競争力を維持するためには、DXによって自らもデジタルディスラプションを起こしていかなくてはならないのです。

(注1)デジタル技術によって既存のサービスやビジネスモデルが破壊・再構築されること

DXを実現するために不可欠のテクノロジーとは

では、具体的にDXを実現するためには、どのような技術を利用すればよいのでしょうか。
やはり欠かせないのはクラウドです。DX実現のためには、膨大なデータが必要なのは言うまでもありません。これらのデータをすべてオンプレミス型のシステムで収集するのは不可能で、クラウドサービスの使用が前提となります。

これら膨大なデータは、自社だけでなくパートナー企業やIoTの技術を使ってインターネットにつながったセンサーなどから集めるケースもあります。2020年度にはネットワークに接続されるデバイスは世界で800億個に達するという予測もあり、IoTはこうした「宝の山」を収集するための基盤技術の1つになります。

もちろん、いくらデータを大量に収集できたとしても、それらのデータを活用できなければ意味がありません。大量のデータを分析するために必要な技術の1つとしてAIがあります。そして、技術の利用が進む中で、何よりも忘れてはならないのが、技術とデータの信頼性(Trust)です。自らがデータを学習し、自律的に答えを導き出す「ディープラーニング」などが発達するとともに、なぜAIがその結論にたどり着いたかの根拠を明らかにする「説明可能なAI」などの研究が進むことで、AIの応用範囲はますます広がっていくでしょう。

これまで挙げてきた「クラウド」「IoT」「AI」の各技術は、ネットワーク基盤を前提としています。2020年が本格普及のスタートになるといわれる「5G」は、DXを実現するためのキー技術の性能を総じて底上げするもので、5Gの実用化がDXを次世代に変化させることになります。他にも、DXを実現するために活用すべき技術は多くあり、これからも新しい技術がどんどん登場してくるでしょう。実際のシステム構築の際には、これら新技術の動向にも常に目を配っていくことが必要になります。

富士通が目指すDXとテクノロジー戦略

富士通はこれまでICT企業として製品やサービスをお客様に提供してきました。そして2019年9月の経営方針説明会において、これからはテクノロジーをベースにして、社会やお客様の課題解決に取り組み、環境、社会、ビジネスへの好循環のインパクトを生み出す「DX企業」に生まれ変わることを宣言しました。自らがDX企業になることで社会にイノベーションを起こし、その知見をお客様に提供していきます。

DXビジネスを推進する上での富士通の強みは、グループ内のR&D組織に長年にわたって培われたテクノロジーの蓄積と知見であり、また数多くのお客様と長年ビジネスの現場で培ってきた業種・業務のノウハウです。これからはこうしたテクノロジーを、より積極的にお客様のビジネスや社会の価値に変えることにより深く取り組まなくてはなりません。さらに業種や業務ごとに蓄積されたノウハウを横断的に活用し、クロスインダストリーな価値を生み出す活動に発展させる必要もあります。(図2)

図 : 図2 富士通はテクノロジーをベースに業種・業務ノウハウを活かしたDX企業に

図2 富士通はテクノロジーをベースに業種・業務ノウハウを活かしたDX企業に

7つのテクノロジービジョン

富士通は、これからのDXを支えるテクノロジーとして、「コンピューティング」「AI」「5G」「IoT」「サイバーセキュリティ」「クラウド」「データ」を重点7技術領域と定めました。これらはDX実現のために不可欠な技術領域といえます。

しかし、7つのテクノロジーは、それぞれ単独では社会課題の解決やDXを実現することはできません。また、どんなに素晴らしいテクノロジーでも、どのように世の中の役に立つかを理解されなければ、その価値を伝えることはできません。そこで富士通では、テクノロジーの利点と方向性をテクノロジービジョンとして定めました。(図3)

図 : 図3 富士通が目指す7つのテクノロジービジョン

図3 富士通が目指す7つのテクノロジービジョン

今後は、これらの技術領域の深掘りを絶えずグローバルビジネスという視点で進め、世界8拠点に設立したグローバルデリバリーセンター(GDC)をハブに提供していきます。

テクノロジーは人に使われてこそ価値を生み出します。7つの領域を融合することで、富士通は人に役立ち価値を提供するために必要な特徴のあるテクノロジーを研究開発しています。世の中の一人ひとりに新たな価値を提供するためのテクノロジーを生み出すことが、テクノロジーカンパニーとしての使命と考え、デジタル時代のTrustを実現できる先端テクノロジーを研究開発し、DXビジネスの実現に向けてお客様に提供していきます。