医療分野のDX成功の鍵はレガシーとの決別

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デジタルトランスフォーメーション(DX)の影響下にある分野は、企業のビジネスのみならず、遺伝子とゲノムについて研究するゲノミクスをはじめ、遠隔医療や3Dバイオプリンティングに至るまで多岐にわたり、医療サービスを一変させるような新技術が続々と登場しています。しかし、現実に技術革新が進み、このようなテクノロジーがもたらす恩恵への関心が高まっているにもかかわらず、実際にそれらを早期導入している医療機関は米国でもわずか11%に過ぎない、という事実が最新の調査で明らかとなりました。

医療サービスを一変させる新たなテクノロジー

ゲノミクス分野では、コンピューターの処理能力の向上によってヒトDNA解析の真の可能性が引き出され、検査や治療をパーソナライズする道が開かれつつあります。その結果、さまざまな疾患を対象とした治療評価指標である患者アウトカムの向上につながる可能性が出てきました。また、遠隔医療分野では、医療システムにかかる負担の軽減に向けてモバイル技術の利用が始まっています。遠隔通信技術を利用することで、患者が遠方の専門医を受診しなくても済むようになる場合があるためです。さらに、3Dバイオプリンティングは、外科医が特定の生体組織を人工的に再現できるようにするテクノロジーとして患者の治癒に役立っており、一つの実例として、骨の3Dプリンティングが挙げられます。

現場への普及が遅れるデジタル医療技術

ところが、グローバルセキュリティソリューションのプロバイダーであるユニシスの最新調査によって、このようなデジタル医療技術が存在しながら、それらの現場への普及が遅れていることが明らかとなりました。この調査は、同社がHIMSSこと医療情報管理システム協会と共同で、米国内の病院および医療システムに関わるIT系の意思決定者220人を対象に行ったものです。

その中で、これらの医療関係者は、一連の質問に答えるだけでなく、特に「患者体験の向上」を目的としたデジタル技術やモバイル技術の利用状況に基づいて、自身の所属する組織をランク付けするように求められました。その他の評価項目には、「医療提供コストの低減」や「臨床医の効率の向上」を目的としたテクノロジーの応用が含まれます。

調査の結果、「DXが遅れている」と認めた回答は全体の64%もあり、「十分に練られたデジタル医療戦略を準備できていない」という回答は89%に上りました。また、調査対象者の51%が「新たなソリューションの導入に対して臨床医からの抵抗がある」としているほか、それとは別の障害として50%が「既存システムにデジタル技術やモバイル技術との相互運用性がない」と答えています。これら以外にもDXが進まない要因として、「スキルの高いITスタッフが不足している」(48%)、「サイバーセキュリティへの不安がある」(45%)といった事柄も挙がりました。

医療機関がDXを推進するには?

こうした遅れの影響について、ユニシスで生命科学・医療部門担当バイスプレジデント兼グローバルヘッドを務めるジェフ・R・リビングストン氏は、次のような見解を述べています。「この調査結果は軽視できません。ハイエンドのデジタル医療を取り入れることは、コストの低減、効率の改善、そしてなにより患者アウトカムの向上につながると考えられるためです。」さらに同氏は、次のように続けています。「この調査結果から明らかなのは、医療ITに相互運用性、透明性、効率性を中心に据えた最新のテクノロジープラットフォームを採り入れる必要があることです。従来の医療システムではこうした目標の達成は難しいうえ、最新プラットフォームと比べて、導入や運用にも余分なコストがかかるという難点があります。」

他の分野の企業と同じく、医療機関がDXを推進するには既存のレガシーシステムと決別する勇気が求められ、それは痛みを伴います。しかし、その痛みを乗り越えることが、病院にとって、そして何よりも患者にとっての大きなメリットを生み出すのです。

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