• ホーム
  • スポーツ
  • “山の神” 柏原竜二が語る、陸上競技の魅力を高める応援のチカラ(前編) 出雲駅伝の道は世界に通ず

“山の神” 柏原竜二が語る、陸上競技の魅力を高める応援のチカラ(前編) 出雲駅伝の道は世界に通ず

【未来を創るチカラ SPORTS×ICT編Vol.3】元陸上選手 柏原竜二インタビュー

メインビジュアル : “山の神” 柏原竜二が語る、陸上競技の魅力を高める応援のチカラ(前編) 出雲駅伝の道は世界に通ず

東京2020オリンピックのマラソン日本代表選手を決める「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」が、2019年9月15日に東京で開催されました。男子レースは、残り3キロからのスパートでライバルを振り切り、駒澤大学出身で富士通の陸上競技部に所属する中村匠吾選手が優勝。東京2020オリンピックの男子マラソン日本代表に内定しました。

事前予想で中村選手を優勝候補に挙げていたのは、同じく富士通の元陸上競技部で、東洋大時代に箱根駅伝での活躍から“二代目・山の神”と呼ばれた柏原竜二です。
今回のMGCでも、大学駅伝出身の選手が多く活躍し、さらに関心が高まる駅伝大会。今回は、毎年10月に開催し大学駅伝シーズンの開幕を告げる出雲駅伝について、知るとますます面白くなる2019年大会の見どころから富士通のスポーツ支援まで、元アスリートと企業人の両方の視点を持つ柏原に話を聞きます。

富士通社員として今、柏原竜二はどんな仕事をしている?

今、私は企業スポーツ推進室に所属しております。富士通では陸上競技部・アメリカンフットボール部(富士通フロンティアーズ)・女子バスケットボール(富士通レッドウェーブ)の三部が強化運動部として活動しているのですが、企業スポーツ推進室の仕事はこれらの運動部と会社を繋ぐこと、川崎市をはじめ地域行政などとの調整、試合会場でのファンクラブへの入会促進活動など、多岐に渡って運動部を支援しています。

私の業務としては、地域貢献やメディアへの露出、講演などを通じて情報発信していくことをメインに活動しています。表の仕事も裏方もやりつつ、本当にいろいろなことを経験させてもらっているなあというのが今の心情です。

ペースメーカーなしガチンコ勝負、MGCと駅伝は似ている

今回MGCを見ていて、こういうガチンコ勝負ができる場だからこそ観る者を惹きつける面白さがあると思いました。MGCと駅伝には似ているところがあり、ペースメーカーがいないのです。ペースメーカーがいれば、ついて行って最後の駆け引きで勝負になりますが、いない場合の駆け引きは日本選手権など限られた試合でしかできません。

暑さの中でのレースだったので、ラストスパートができる強さがある中村匠吾選手は十分優勝を狙える位置にあると思っていました。2位の服部勇馬選手(トヨタ自動車)は、私の母校である東洋大学の後輩で、とてもクレバーな選手です。駅伝を経て今回のように選手たちの活躍の場が広がるというのはいいことですね。

旗を振って大応援団を結成。3年越しの約束を果たせた

MGCでは社内応援団を企画したところ、予想以上の反響があり社員とその家族、お子さんも含めて160人の大応援団を結成しました。富士通本社の汐留をキャンプ地として熱中症対策などもし、レースの見どころを話しながら選手の到着を待ったり、選手の心理状況を解説したり、タオルを掲げて応援しましょうと。中村匠吾選手が優勝した瞬間は、もう割れんばかりの歓声で、一体感がすごかったです。

写真 : MGC当日、解説を行う柏原

MGC当日、解説を行う柏原

私が3年前に陸上部を辞める時に応援してくれていた社内の人たちが「私たちはこれからどうやって陸上を応援したらいいのかわからない。集まれる場所があると嬉しい」と言ってくれていました。今回の社内応援団企画は、その声に3年越しで約束を果たせたという思いもあり嬉しかったです。

写真 : 沿道で選手に声援を送る社内応援団

沿道で選手に声援を送る社内応援団

駅伝シーズンの幕開け。今季を占うような出雲駅伝

出雲駅伝・全日本大学駅伝・箱根駅伝は「学生三大駅伝」と言われています。箱根は関東の大学しか出場できない現状ですが、出雲駅伝と全日本大学駅伝は全国から代表が集まります。この学生三大駅伝の中でシーズン最初に行われる出雲駅伝は、その年の新戦力やチームを占う大会でもあります。出雲駅伝で結果を残すことがチームにとっていい状況になるし、駅伝を走ったことがない選手が結果を残すと自信に繋がる。ここを始まりとして、後に続く大会に向けたいろいろなプランが立っていきます。

写真 : 出雲駅伝ポスター

出雲駅伝ポスター

観戦の仕方としては、まず一校好きな大学チームを見つける。さらに好きな選手を見つけると応援しやすいと思います。テレビ観戦もいいですが、できればリアルタイムに現場で観戦することが一番いいと思いますね。歓声の中で一喜一憂する仲間が多ければ多いほど楽しいので、面白さが倍増しますよ。

令和初となる今回の出雲駅伝。注目の選手は…

出雲駅伝の距離は短くて(45.1km)、箱根駅伝の4分の1くらいです。各区間も最終6区以外は10kmいかないので、「スピード駅伝」と言われています。

注目選手は、箱根駅伝を走ったメンバーが8人残っている東海大学、あともちろん青山学院大学、そして東洋大学が挙げられるのですが、私は今回春先から非常に調子がいい國學院大學に注目していきたいなと思っています。今年1月の箱根駅伝5区で区間賞をとった浦野雄平選手が関東インカレの時から非常にいい活躍をしていて、全日本インカレ10000メートルでも國學院大學の選手が日本人トップの1、2フィニッシュを決めています。

今挙げた大学で上位3人目までは強さに大きな差がないので、4人目、5人目、6人目が、この夏で大成しているかというところが勝負の分かれ目になっていく。そこが今年は本当に観ていて面白いと思います。

現役時代に走った出雲1区。4年間で変化したメンタル

現役時代、出雲駅伝では私はずっと1区ですね。1年目はレギュラーになることに必死で、結果的に区間2位で走らせていただいて、少し結果が残せたことにホッとしたというのが正直なところです。2年目も勢いのままに自分のレースだけを考えて走ることができたのですが、4年目は勝てるチームだったので、「勝たなきゃいけない、俺が遅れちゃいけない」とちょっと後ろ向きの思考に変わってしまったのです。変な不安があって、その時は遅れてしまいましたね(区間6位、東洋大学は優勝)。

やはりメンタルも大事だと思います。感覚を鋭くしなければいけない部分と、超絶鈍感にならなければいけない部分があって、敏感だけど鈍感にならなきゃいけない。自分の体に対することには敏感に反応していかないと怪我をしてしまう恐れもあります。でもレースでは何があるかわからない。不安だけれど、どっしり構えて読みきる力がすごく大事になってきます。

富士通のスポーツ支援。出雲から世界へ

スポーツ支援の支援と地域貢献を目的に、富士通は出雲駅伝の初回開催(1989年)からメインスポンサーとして参画し、今年で31回目を迎えました。特に出雲駅伝は学生スポーツですので、学生スポーツをサポートして、そこから世界で活躍できる選手が巣立っていけばいいなという思いがあります。

今後目指していきたいこととしては、先進技術を大会に取り入れたりしながら、イベント自体をより活性化していけるといいと思っています。富士通は「テクノロジーで人を幸せにする」という企業理念を掲げていますので、スポーツを含め社会全体に対して貢献できるよう努めていきたいですね。

写真 : 1989年生まれ。「出雲駅伝、第1回の年の生まれです。」

1989年生まれ。「出雲駅伝、第1回の年の生まれです。」

ー後編では、出雲駅伝やアスリートをサポートするICTの可能性について、また柏原竜二自身が今まさに開拓しているアスリートのセカンドキャリアについて、その思いを聞きます。

柏原竜二

写真 : 柏原竜二

1989年7月13日 福島県生まれ。
福島県立いわき総合高等学校、東洋大学を卒業し、富士通株式会社へ入社。東洋大学時代に箱根駅伝で三度の総合優勝に貢献し、4年連続5区区間賞を獲得すると同時に、4年次には主将としてチームを優勝に導いた。卒業後は富士通陸上競技部にて活動し、2017年3月31日をもって現役引退。現在は同社 企業スポーツ推進室に所属し、スポーツ活動全般への支援、地域・社会貢献活動などを担当し、幅広く活動している。