高齢化や過疎化が進む社会。地域住民の「交通手段」をどう確保するか

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公共交通手段が無くなり、地域の移動や買い物に不便を感じる人も

日本では急速に高齢化が進んでいます。内閣府の調査によると、75歳以上(後期高齢者)の人口は、現在は総人口の13.3%ですが、2065年には25.5%。実に「4人に1人以上」が高齢者という時代です(注1)。

高齢者の増加に伴い、自動車を運転する高齢ドライバーも増えています。同じく内閣府によると、2016年末の運転免許保有者数約8221万人のうち、75歳以上の免許保有者数は約513万人(注2)。75歳以上の「約3人に1人」が運転免許を保有しており、この割合は今後も増えていくと考えられています。

こうした状況の中、高齢者の暮らしに必要な移動手段をどう確保するかが課題になっています。特に過疎化が進んでいる地域では、電車やバスといった公共交通機関の赤字化や運転士不足によって路線が廃止されることもあり、地域に暮らす人たちが満足に交通手段を得られないケースもあるのです。

そこで増えてきたのが、路線バスに近い感覚で利用することができる「乗合タクシー」です。乗合タクシーには、決まった時間に決まった場所で乗車・降車できるバスのようなものや、指定した場所・時間に乗車し、目的地まで送ってくれるものがあります。しかし従来の乗合タクシーは、電話予約のみであることに加え、利用者の現在位置に近いバス停に配車されることが大半。そのため利用者はバス停まで移動しなければならず、またオペレーターは経験や土地勘を頼りに利用者へ案内しなければならないため、利用者・オペレーター双方にとって大きな負担となっていました。

(注1)(注2)内閣府「平成29年交通安全白書」より。

いつでも・どこでも・誰でも。気軽に使える「オンデマンド型乗合タクシー」

そこで富士通は、乗合タクシー事業を展開している第一交通産業(第一交通)と協業し、「オンデマンド型乗合タクシー」の提供を2019年3月より開始しました。これは、公共交通機関の不足している地域に暮らす人たちが、希望する時間や場所に応じて柔軟に乗り降りできる「オンデマンド型」の乗合タクシーサービスです。

富士通では以前から、自治体や公共交通事業者、サービス提供事業者向けに、予約受付や運行管理などの業務支援を目的としたクラウドサービス「オンデマンド交通サービス」を提供しています。今回のサービスは、第一交通様が提供する乗合タクシーと組み合わせ、新たに「オンデマンド型乗合タクシー」として提供を開始したものです。

図 : 予約すると、利用時間や場所に応じて最適な乗合タクシーが配車される

予約すると、利用時間や場所に応じて最適な乗合タクシーが配車される

具体的な利用方法を説明しましょう。利用者はまず、スマートフォンやパソコン、電話でタクシーの配車を予約します。すると、送迎可能な車両の「現在位置」と利用者の「目的地および到着希望時間」を、システムが自動的にマッチング。既存の予約や乗合率を考慮した上で、効率よく、かつコストを抑えた移動手段を提案します。その結果が乗合タクシーのドライバーに伝えられ、利用者の送迎に向かうという仕組みです。

図 : オンデマンド型乗合タクシーの予約画面イメージ

オンデマンド型乗合タクシーの予約画面イメージ

今後は異業種連携も検討、さらなる地域活性化へ

オンデマンド交通サービスを使うことで、利用者はスマートフォンのアプリから時間を気にすることなく予約することができるようになります。また、自宅や希望する場所への配車が可能となったため、最寄りのバス停を探さなくてもドア・ツー・ドアで乗合タクシーを利用することが可能となります。

自治体にとっても、乗合タクシーを免許返納の受け皿として利用したり、自動的に集計された各種データを利用しての街づくりや運行計画制定を行うなど、地域社会への貢献や地域活性化のメリットがあります。さらに同様の課題を持つ地域に横展開することで、成功モデルを転用することも期待できます。

今後は、第一交通が乗合タクシー事業を展開している全国46市町村144路線へサービスを拡大することが予定されています。

富士通と第一交通では、今回の協業によって収集・蓄積した利用者データをAIやその他サービスとの連携に活用し、さらなる利便性の向上や地域活性化につながる新しいモビリティサービスの提供を計画しています。また、これまで定期的に利用していた人が突然利用しなくなった場合に、その情報を検知し、安否確認を促す地域の見守りサービスなども検討しています。さらに、利用者の外出促進によって恩恵を受ける事業者(病院、商業施設など)と異業種連携することによって、エコシステム化し、持続的なサービスとしての確立を目指します。