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小売業でのDX:チャットボットで顧客体験向上とコストダウンを実現

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クラウド技術企業のジュニパー・ネットワークスが最近行った調査によると、チャットボットが関わった小売販売額は毎年2倍近く増え、2023年までに1,120億ドルに達すると見られています。チャットボットによって顧客への販売やサポートプロセスが自動化されたため、このように大きな利益がもたらされたのです。チャットボットは、テクノロジーによってインテリジェントなコンテンツが生み出される実例の1つであり、eコマースの未来そのものかもしれません。

また、オンライン小売企業は、スマートCMS、つまり自動化されたコンテンツ管理システムなどのAIベースのインフラにも多額の投資を行っています。このようなシステムによって実現する、一人ひとりのユーザーに合わせた体験は、顧客の囲い込みや販売促進に欠かせない要素になってきたといえるでしょう。

デジタル・ジャーナルでは、AI利用の顧客サービスプラットフォームを提供しているヘルプシフトのCEO、リンダ・クロフォードをインタビューし、チャットボットが小売業や他の業界の顧客サービスにもたらすインパクトに関する彼女のインサイトを共有していただきました。

デジタル・ジャーナル:AIが小売業に与えている影響とは、どのようなものでしょうか?

リンダ・クロフォード小売業は季節に左右される業界です。それは、年間を通じて、顧客からの問い合わせや、それに伴うトラッキング記録の量に、大きな山と谷とが存在しうることを意味します。しかし、見方を変えると、これはデジタルトランスフォーメーション(DX)が大きな影響を与えることのできる完璧なユースケースでもあるのです。つまり、チャットボットのようなデジタル・コミュニケーション・チャネルとAIによる自動化は、季節によって大きく処理量が変化することの負担を軽減してくれる存在だといえるでしょう。

このような問い合わせの数の変動に応じて、生身の人間と電話に基づくサポートシステムをスケールアップ/ダウンさせるのは難しいことです。そのため、顧客はしばしば電話口で延々と対応を待つような酷い目に遭ってしまいます。

ところが、AIによるメッセージング機能を使えば、顧客は電話応対係の順番をイライラしながら待たなくても、必要な対話を続けられるようになるのです。チャットボットが定型的な顧客応対を自動化し、出荷状況確認のようなお決まりのリクエストに伴う大量の負荷を引き受けてくれますから。

こういったメッセージングと自動化は、デジタルトランスフォーメーションの2本柱であり、小売企業が検討すべき重要事項といえます。顧客サポートにおける電話利用の優先度を下げ、デジタルなやり取りの優先度を上げていくと、実際に電話応対を行う係には、チャットボットでは解決できないメッセージを処理する余力も生まれるはずです。また、電話応対係に余裕ができれば、複数の顧客との対話を同時に進められるようにもなるでしょう。このように顧客サポート部門の生産性が上がることによって、小売企業は繁忙期に多くの電話応対係を臨時に雇い入れなくとも、顧客体験を向上することができるのです。

この流れをもう一歩進めるために、電話機能をデジタルチャネルとシームレスに融合できれば、そのシステムは先進的な企業にとってかなりの差別化要因となりえます。たとえば、顧客対応を引き継いだチャットボットが過去の電話応対の記録を参照できると、メッセージング機能を通じて、同じやり取りを最初から繰り返すことなく対話を続けられるようになり、双方の負担が減るわけです。

デジタル・ジャーナル:小売業にとってチャットボットは、どの程度まで重要な存在になっていますか? また、小売企業はチャットボットのどのような長所の活用を試みているのでしょうか?

このデジタルトランスフォーメーションの時代において、巨大小売企業が自動化できる対象業務は大きく広がっています。なぜなら、チャットボットは、既存のCRMや配送業者のようなバックエンドシステムとも統合することが可能なためです。こうした統合によって、巨大小売企業は、電話応対係を多くの煩雑な対話から解放できます。繰り返しになりますが、よくある問い合わせをチャットボットに割り当てることで、小売企業は電話応対係の負担をある程度軽減でき、ホリデーシーズンなどの繁忙期の人員配置についても、問い合わせの増加分をチャットボットが処理してくれるため、臨時電話応対係をそれほど増やさずに済むようになるわけです。

デジタル・ジャーナル:チャットボットに対する顧客の全般的な反応はいかがでしょうか?

クロフォード顧客が望むのは、自分の抱える問題が素早く楽に解決されることです。チャットボットがそれを実現してくれる限り、ほとんどの顧客は喜んでくれますね。一方で、顧客が苛立ちを覚えるのは、チャットボットが目の前の問題を誤って解釈したときです。そこで企業は、便利さを求める顧客の望みにチャットボットで応えつつ、それでは不都合なことが起こった場合に備えて、生身の電話応対係と話ができる選択肢も提供しておくことが大事といえるでしょう。

デジタル・ジャーナル:現在のチャットボットで一番の限界といえるものは何ですか?

クロフォードチャットボットベンダーの多くは、純粋な対話型のボット体験に依存しているのが現状です。しかし、選択肢を選んでいくような分岐型の顧客対応システムなどに比べて、そのようなAIモデルのトレーニングは大変難しかったり、時間がかかったりする場合があります。この問題を避けるために、企業はAIの対話機能を使ってトラッキング記録を分類したうえで、特定のユースケースについては、はるかに効率的な分岐型モデルを利用して問題解決にあたることができるでしょう。

デジタル・ジャーナル:そういった限界を克服するためには、テクノロジーをどのように役立てればよいのでしょうか?

クロフォード対話の自動化とチャットボットが分岐型であれば、小売企業は話の流れをコントロールできます。この形式のほうが、完全な対話型のものよりもシンプルで、管理しやすいからです。そこで、顧客からの問い合わせに対して、AIが、既存の分岐型のチャットボットのワークフローで対応できると判断した場合には、その顧客を、あらかじめ決まっている一連の処理に誘導するようなやり方が考えられるでしょう。それでも顧客の質問がワークフローに適合しないときには、最終的にバックエンドソフトウェアが顧客を電話応対係につなげばよいのです。

デジタル・ジャーナル:今後の5年間で、カスタマーサービスのあり方はどのように変化していくと思われますか?

クロフォードすでに顧客サービスの業務は、自動化を通じて、顧客体験の効率面で大きな改善を実現しつつあります。この動きが、次の5年間も加速していくことは間違いありません。企業は顧客サービスの90%以上を自動化する一方で、電話応対係を極めて複雑な問題の対応にあたらせることになるでしょう。そして、これを達成するために、顧客サービス分野には、さらに多くのデータサイエンティストやエンジニア、アナリストが必要となるはずです。そのような人材が、対話モデルの保守・改良や、優れた顧客体験を実現するチャットボットの作成を担うことになります。

チャットボットによる自動化が顧客サービスの効率化を推進し、その結果として、最も重要な企業の収益が増大するのです。

この記事はDigital Journalに掲載され、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。