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急成長のスマートスピーカー市場。プライバシーのリスクを理解し安心して使うためには?

先月スペインで開催された「IFAグローバルプレスカンファレンス」の席上で、特に米国と西欧を中心とする世界中の多くの国々において、スマートホーム関連製品の売上げが2桁成長を遂げていることが明らかになりました。このことからもわかるように、多くの消費者にとって、スマートホームの魅力に抗うことは容易ではないようです。朝、目覚めたときに、ベッドから起き上がらなくても簡単な音声コマンドでブラインドを上げたり、室内の設定温度を変えたり、コーヒーメーカーのスイッチを入れたりできる、そんな暮らしを気にいらないという消費者などいるでしょうか?

しかし、スマートホームを手放しで称賛する前に、プライバシー上のリスクを理解しておくことも重要です。もちろん、スマートホームに利点がないというわけではありません。この技術は、時間の短縮や、個人の生産性の向上のほか、ほんの5年前には想像もつかなかったレベルの利便性を一般的な消費者の生活にもたらす、大きな可能性を秘めています。とはいえ、導入にあたって大切なのは、しっかりと状況を見極めながらプランを進めていくことです。

すべてはデジタルアシスタントを選ぶことから

 

 

Above: The Amazon Echo digital assistant.

Image Credit: Amazon

どのデジタルアシスタントがベストかについての議論は、現在も続いています。ここで一方の肩を持つことはしませんが、手始めに「Googleアシスタント」か「Amazon Alexa」の機能を搭載したスマートスピーカーのソリューションを試してみるのがよいでしょう。この2種類をおすすめするポイントは、GoogleアシスタントとAmazon Alexaであれば、最も一般的な家電、照明、セキュリティ関連製品、ドアロックをはじめする幅広い分野の製品を管理したり、制御できる点です。反面、これらのスマートホーム製品には、プライバシー上のリスクも存在します。

 

 

Above: The Google Home digital assistant.

Image Credit: Google

プライバシーの懸念事項について、まずはデジタルアシスタント製品自体から見ていきましょう。これらのデバイスは、接続先の企業のサーバー上で処理を実行できるように、「OK、グーグル」や「アレクサ」といった起動ワードを聞き取る機能が、常時有効になっています。これはプライバシー上、ささいなリスクとはいえません。要するに、家の中にいつでもあなたの会話に聞き耳を立てているマイクがあるということだからです。

グーグルやアマゾンのような企業は、「プライバシー保護対策を講じるためならどんな努力も惜しまない」ということ好みますが、だからといって厄介で恐ろしい事態がなくなるわけではありません。昨年12月にドイツのあるユーザーがアマゾンに個人的な活動に関するデータを要求したところ、身に覚えのない1,700件の音声記録が送られてきたという報告がありました。しかも、これはアマゾンだけの問題ではないのです。不気味なほどに似た事例は、Googleアシスタント製品に関しても報告されています

「履歴リスト」にもプライバシー問題が…

読者の皆さんは、こうした問題を恐ろしいと感じたでしょうか? 本当はそうあるべきですが、もし感じなかったとしても、これらのスマートスピーカーがサーバー上に記録した音声情報が、訴訟や警察による捜査の中で、利用されることもありうると聞いた後では、いかがですか?

泥沼離婚や子どもの親権争いの中で、デジタルの音声記録が引っ張り出される場面は、容易に想像がつきます。そして、それらの音声記録が、人道主義的な組織ではなく、営利目的の私企業によって保管されているということにも注意してください。保管された記録が、パーソナライズされた広告や、ユーザーの嗜好に基づく特典などを提示するマーケティングのために使われることも珍しくないからです。

アマゾンもグーグルも、ユーザーが音声履歴を確認して削除できる機能を用意しているので、定期的に履歴をチェックしたほうがよいでしょう。

すべての親にとっての悪夢とならないように

数多く出回っている安価なスマートホームデバイス、特に、ノーブランドで販売されているアジア製のIoT関連製品は、ハッキングされやすいということから評判が良くありません。一方では、セキュリティに関する評価で他の追随を許さないと自負するグーグル自身の製品でさえ、最近になって、不名誉なセキュリティ侵害を受けました。同社のセキュリティカメラである「Nest Cam」が事実上のハッキングを受けたのですが、その理由というのが、カメラの制御アプリにしかるべき予防措置を講じていなかったというものでした。このような単純ミスが、悪夢ともいうべき事態の本質だったのです。多くの親が、この製品を赤ちゃんモニターとして使っていることを考えてみてください。

さて、ここで採り上げたさまざまな問題が、読者の皆さんを怖がらせ、スマートホームから遠ざけてしまったかもしれません。筆者自身は、スマートホームとその可能性を大いに支持している1人ですが、それでも、利便性と引き換えに無防備にプライバシーを差し出してしまうのは割に合わない、ということをアドバイスしておきたいと思います。

スマートホームを、家族のプライバシーを犠牲にせずに実現することは可能です。ただし、そのためには、ホームネットワークに対して相応のセキュリティ措置を講じると共に、使用するデジタルアシスタントがユーザーに関してどのような種類の記録を残しているか、その内容について警戒を怠らないようにしておきましょう。

免責事項: 本記事の執筆に関わったムーア・インサイツ&ストラテジーは、あらゆる調査会社やアナリスト企業と同様に、業界の多くのハイテク企業に対して調査、分析、助言、および/またはコンサルティングサービスを今も提供しているか、または、過去に提供したことがあります。その中にはグーグルも含まれていますが、この記事の執筆者は、記事内に挙げられたいかなる企業に対しても投資を行う立場にはありません。

 

この記事はVentureBeat向けにムーア・インサイツ&ストラテジーとマーク・ベナが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。