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業種・業界を超えた協創が5G時代に新たな価値を創造する

メインビジュアル : 業種・業界を超えた協創が5G時代に新たな価値を創造する

5Gの商用化サービスが目前に迫っています。5G時代に新たなビジネスモデルやサービスを創造するために今、企業は何に取り組むべきでしょうか。業種・業界を超えた協創によるイノベーションの重要性が高まっています。
【富士通フォーラム2019 フロントラインセッションレポート】

初めにNTTドコモの中村氏が「5Gが実現するデジタルトランスフォーメーション」と題して講演し、続いて中村 寛氏と富士通の松本 端午によるクロストークセッションにて5G時代に求められる協創について語りました。

5Gによってもたらされる2つの新しい価値

株式会社NTTドコモ
取締役常務執行役員(CTO)
R&Dイノベーション本部長
博士(国際情報通信学)
中村 寛 氏

ドコモでは、2020年春の5Gのサービス開始を見据え、先だって2019年9月からプレサービスを開始する予定です。こうした本格商用化の動きは世界各国で起こり、今、5Gは「ホットな話題」と言えるでしょう。2019年4月には、アメリカと韓国がサービスを開始しており、2020年にかけて世界各国で5Gの本格的な商用化が加速すると見ています。

5Gの特徴は、高速大容量・低遅延です。とりわけ低遅延は、働き方改革に伴うモバイルワークの浸透、遠隔での操作や作業におけるリアルタイム性の向上など、新たな仕事の仕方やビジネスモデルを創造するのに非常に大切な機能です。また、多数接続が可能なことも5Gの特徴です。これは、IoTを活用するには欠かせない機能です。

コンシューマに向けた5Gの価値

「5Gはどういう価値を生むのか」。通信キャリアとしては、単に5Gのサービスやエリアを作っただけでは不十分で、5Gを使って何をお客様に提供できるかという観点で、2つの価値を考える必要があると思っています。

1つ目は、コンシューマ、つまり一般の利用者に向けた5Gが生み出す価値です。今お持ちのスマートフォンが5Gでさらに高機能となり、より便利にお使いいただけるようになります。

具体的には、5Gは高速大容量ですから、クラウドと連携し現在よりも柔軟で多彩なサービスが展開されるようになります。また、最近話題になっているeスポーツなどは遅延が大きいと勝負になりません。さらに、周辺機器との連携が今よりも便利になり、さらに多くのユーザーへ新しい価値を生み出すことができるようになります。

例えば、今まではスマートフォンの小さな画面で観ていた映像を、VRを使って迫力のある映像として楽しんだり、ウェアラブルのヘルスケアデバイスで24時間365日健康をウォッチできたりします。

5Gが目指す世界と特徴

2600超の異なる業界パートナーと創出する5Gの価値

2つ目は、5Gを軸にパートナーの皆様との協創によって生み出す新しい価値です。ドコモは、2018年2月に5G時代の協創を進めるために「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」を始めました。これは5Gを使ってどのようにパートナー同士でビジネスを効率化・拡大し、新しいBtoBtoXビジネスを創出するのか、さらには社会課題を解決していくのかといったことを一緒に考えていくプログラムです。現在、2600もの団体や企業にご参加いただき、業界を越えたディスカッションや情報交換、5Gの電波環境を使ったソリューション実験などが行われ、既に158件の具体的なソリューションやユースケースができています。

5Gオープンパートナープログラム参加企業。サービス業、卸売・小売、飲食が多くを占める

新たなヘルスケアの未来を5Gで実現

5GやIoTを使い、国連による「持続可能な開発目標」SDGsの17のゴールに寄与するプロジェクトを開始しています。具体的には3つのプロジェクトが立ち上がっており、そのうちの1つが富士通様と開始したヘルスケア領域の社会課題解決です。

日本は超高齢化社会と言われており、高齢者の一人暮らしや介護が大きな社会課題となっています。この課題に対し、5GやIoTを使って寄与することを目的として、富士通様とドコモでプロジェクトを立ち上げ推進している最中です。

このように、5G技術をハブに、業界をまたいだコラボレーションによりまったく新しい化学変化が生まれ、新しいビジネスの創出や社会課題の解決が期待されています。

新たなヘルスケアの未来。富士通とドコモで協創を加速

5G時代のネットワークは、より「オープン」で「トラスト」に 

5G時代のこうしたビジネスを支えるためには、ネットワーク自体が高度化し「トラスト」な通信ができるようになる必要があります。4Gまでは1つのネットワークの中で様々な通信が混在していました。5Gの時代は、様々なパートナーがミッションクリティカルな通信をするようになった場合、インターネットを介さないセキュリティの高いネットワークが必要になるかもしれません。ネットワークそのものが時代に合わせ変化することが、5G時代の協創には必要だと言えます。

また、5G時代のネットワークは「オープン」であるということも特徴の1つです。例えばネットワークを作る時、あるメーカーの装置を入れると、他の装置もそのメーカーのものを使わなくてはならないということが起こっています。

このようなクローズドな世界をオープンにしていくために、各国の通信事業者と「O-RAN Alliance」というアライアンスを作りました。そして、垂直統合のネットワークではなく、オープンなネットワークにしていくために、世界のメーカーを含めて議論をしています。

「O-RAN Alliance」 オープンで拡張性の高いネットワークを各国の通信事業と構築

このアライアンスを通じて、2020年代からの5G時代にドコモは、様々なビジネスを支え拡大していきたいと考えています。どこかの一社が、5Gを軸にした新たなビジネスモデルで全てをコントロールすることはできません。様々なパートナーの皆様と協創しながら、新しい5Gの世界を創造していくことが重要です。

5Gの技術をハブに、業界をまたいだコラボレーションで、全く新しい化学変化が生まれ、新しいビジネスの創出や社会課題の解決が期待されています。

ここにいらっしゃる皆様を含め、多くの皆様と協創しながら「5G」時代の新たなシステムを創出していきたいと考えています。

続いて、富士通の松本が登壇し、5G時代の協創をテーマに中村氏と意見を交わしました。

5G時代に求められる「協創」とは

富士通株式会社
執行役員常務
松本 端午

松本 5Gはモバイル通信だけでなく、様々な領域に変化をもたらします。例えばAI(人工知能)の領域では、5GとAIはどう関係してくるでしょうか。

中村 デジタルトランスフォーメーションの大きな柱の1つが「5G」であり、もう1つの大きな柱が「AI」だと考えています。

松本 5G時代になるとデジタルデータがたくさん生まれ、それを必要としているところに確実に届けることが重要になりますね。そういった意味では第2次AIブームの頃とは全くベースが違うのではないでしょうか。

中村 ドコモでもネットワークの運用や様々なビジネスをしていく中で、数ペタバイトのデータが集まっており、そういったビッグデータを解析しながら活用を進めています。

例えばデータマイニングの世界では、2013年にモバイル空間統計というものを実装しました。モバイルを使って、どこに何時頃どれだけの人数がいるかという人口統計をつくるというものです。こうしたデータを活用し将来を予測すれば、タクシーのドライバーに乗客がいそうなところをアドバイスできたり、飲食店の来店予測やシフト調整などができたりします。様々なビジネス活用によって新しい運用が生まれています。

5G時代に必要な2つのキーワード「オープン」と「トラスト」

松本 富士通もヘルスケアの分野で、病院や医療機関をサポートする仕組みを提供しています。ドコモ様のプラットフォームと一体となることで、富士通だけでは決してつながらないお客様にいろいろな価値を提供できるようになりました。まさに、5G時代の協創は「オープン」でなければならないということですね。

中村 「オープン」は5G時代の必須条件です。誰か一人がすべてをハンドリングできる時代はすでに終わっています。多くの業界の皆様が集まっていろいろなことをやろうと思ったときに、隣の業界が何をやっているのかを知ることで、そことの連携で新しいものができるのではないかという可能性があります。そういったみんなで一緒に作っていくというオープンな環境であることが基本です。

松本 インターネット時代の進化とともに、大事な要素である「トラスト(信頼)」もずいぶん変わってきていると思います。通信キャリアであるドコモ様にとっても非常に大きなテーマではないでしょうか。

中村 ネットワーク自体に「トラスト」が必要で、その上のビジネスプラットフォームにも、最後はアプリケーションにも「トラスト」が求められています。エンドツーエンド全体的が「トラスト」であるためには非常に大きな努力が必要であり、積み上げをしっかりしていくことが大切になります。そうしなければ、2020年に5G時代のビジネスは花開かないでしょう。トラストの土台があるからこそ、ビジネスが花開くのだと思います。

究極の話をすると、4Gの世界は一人ひとりのお客様に対してサービスを届けるネットワークの世界でした。しかし、5Gの世界は一人ひとりのお客様に快適で信頼のおけるネットワークを提供するだけでなく、社会に対してそういう基盤を提供していかなくてはなりません。

松本 これからの富士通に期待することがありましたらお聞かせください。

中村 富士通様の持つ様々なアセット、通信以外にも認証や決済を組み合わせ、適材適所で使いながらコラボレーションをしていきたいですね。これからは業界をまたいだ世界の化学変化が重要です。何が必要になるか、何がビジネスになるかなどチャンスはたくさんあるはずですから、これからも新しいチャレンジをしていきたいと思っています。

2020年、5G時代の新たなビジネスを世の中に花開かせるためにも、共にチャレンジしていくことを約束しトークを締めくくりました。

登壇者

株式会社NTTドコモ
取締役常務執行役員(CTO)
R&Dイノベーション本部長
博士(国際情報通信学)
中村 寛 氏

富士通株式会社
執行役員常務
松本 端午