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5Gで変わる未来社会【第2回】業種別ユースケースとローカル5G

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第1回からの続き)

5Gの特長を活かしたシステムを構築し、世の中に広めるためには、相応の準備と支援体制が必要になります。
富士通は、全国のサービス事業者のインフラ構築を支援するとともに、「ローカル5G」にも積極的に取り組みます。

自動運転、Industry 4.0......全てのカギは5Gが握る

身の回りのあらゆる機器・設備・システムを高性能なモバイル通信技術でつなぐ5G。
その応用は、自動車、製造、医療、農業、建設、流通・物流など様々な業界へと広がります。

自動車:信頼性が高い自動運転を実現

現在、自動車業界は大変革の真っただ中にあります。自動車にインターネット通信機能を搭載した「コネクテッドカー(Connected Car)」という、自動車の在り方を根底から変える動きが同時進行中です。こうした動きは、5Gのフル活用を前提に進められていると言っても過言ではありません。

例えば自動運転システムでは、車載のカメラやセンサーで収集したデータをクラウド上のAI(人工知能)に学習させて、精度の高い判断を下します。カメラやセンサーのデータを送る時、学習済みAIのデータを自動車に送る時、5Gのように信頼性が高く、高速なモバイル通信が必要になります。

また、バスやタクシー、ごみ収集車やパトカーなどにセンサーを搭載し、街の見回りに活用することも検討されています。5Gの超高速、超低遅延、超大量接続という特長を活かせば、渋滞状況、道路周辺の大気汚染や天候、道路インフラの老朽化の状況などをつぶさに知ることができます。

製造:「Industry 4.0」のカギは、高度なMTC

世界中の製造現場は、「第4次産業革命(Industry 4.0)」と呼ばれる生産体制の改革に取り組んでいます。その実現には、工場内の装置・設備から精緻な稼働データを収集し、解析用サーバに伝送して解析結果を工場内の装置や設備に瞬時に反映させる通信技術が必要不可欠です。ここに、5Gの超高速・超低遅延・超大量接続という特長が活かされます。コンピュータと装置・設備の間をつなぐ高度なMTC(Machine Type Communications)の実現がIndustry 4.0の成功のカギを握っていると言えます。

Industry 4.0による最も野心的な取り組みとして「マスカスタマイゼーション」があります。消費者個々のニーズに合った仕様の製品、究極的には一点モノの製品を効率よく作り分ける未来の生産手法です。5Gの特長を活かせば、注文に合わせて中央の生産管理システムから生産工程や条件を迅速に変更し、思い通りの製品を柔軟に生産できます。

医療:遠隔地から五感を駆使して診察

高齢化が急速に進む日本では、医師の不足や偏在が慢性的問題となっています。日本全国のどこに暮らしていても、質の高い専門医療が受けられる仕組み作りは、喫緊の課題だと言えます。その解決策として、ICTの力を活用し、遠くにいる患者を医師が診察・処置する遠隔医療の実現に大きな期待がかかっています。5Gは遠隔医療の実現に欠かせない技術です。

医師が的確な診察や処置をするためには、五感をフル活用して患者に対する必要があります。例えば、患者を診察する時には、問診、聴診、触診、時には匂いも参考にしながら状態を判断します。手術をする際には、手探りで患部を見つけたり、メスを入れた時の微妙な感触を頼りに慎重に処置します。5Gの特長を活かせば、患部の感触を遠隔地からリアルタイムで"感じる"ことができます。また、仮想現実(VR)技術や医療ロボットを組み合わせて、あたかも目の前にいるかのような診察や処置ができるようになります。

農業:「スマート農業」が日本の農業を救う

農林水産省によると、2010年から2015年にかけて農業従事者数は15%も減り、しかも平均年齢が66.4歳と一般企業ならば定年後の暮らしを送る年齢にまで高まっているそうです。この危機的状況を打開するため、IoTデバイスやロボット農機などをフル活用して生産性向上を図るスマート農業の実践が推し進められています。ここでも5Gの応用が期待されています。

田畑の様々な場所や農機にセンサーを設置し、水位や水温、作土の深さや肥沃度などを知るためのデータをリアルタイムで収集して、適切なタイミング、適切な場所で最適な作業を行う「精密農業」の動きが活発になってきました。さらに、篤農家(熟練農家)の知識や技を、カメラなどでデータ化し、後進の育成やロボット農機の制御に役立てようとする動きも出ています。これらを実現する際のモバイル通信技術として5Gの活用に期待が集まっています。

5Gの潜在能力を最大限引き出し一刻も早い社会実装を目指す

5Gの高い潜在能力の活用を加速する、極めて重要な動きが始まっています。総務省では、全国規模での5Gのモバイル通信サービスとは別に、エリアを限定して電波を利用できる「ローカル5G」制度を検討しています。建物内や敷地内での5Gの利用を想定して、その所有者などが自営の目的で周波数を利用できる制度です。

この制度は、多くの企業が、5Gの特長を活かした産業用ICTシステムを構築・活用できるようにするためのものです。工場や病院などの施設内に5G向け基地局を設置すれば、安定的かつ安全な運用が可能な5Gネットワーク、いわば「自営5G」を構築可能になります。これにより、従来IoT関連用途に利用していた無線LANやBluetoothなどの既存技術よりも、高性能で安定した無線ネットワークの構築と利用が可能になります。

ローカル5Gの利用イメージ
(出典:総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会(第12回)資料より)

ローカル5Gでは、広域のモバイル通信への適用を想定した4.5GHz帯と高速・大容量のデータ通信が可能な28GHz帯の利用が予定されています。総務省は、先行的に他用途との共用検討が済んでいる28GHz帯100MHz幅について、早ければ2019年8月の制度化を、その他の帯域についても、早ければ2020年6月の制度化を目指して検討を進めています。富士通は、5Gの応用拡大を後押しするローカル5Gに、積極的に取り組んでいく予定です。

5G化だけでは社会は変わらない 利用システムの創出がポイント

5Gは、つなぐ対象となる端末とユースケースが極めて多様です。しかも、システムやサービスは、既存の発展形だけではなく、新規開拓する場面が増えることでしょう。

特に、ローカル5Gを活用したシステムを構築するためには、利用ケースやビジネススキームに最も適した性能、信頼性の基地局やネットワークの構築と展開、さらには5Gの機能をシステムレベルで最大限引き出すための高度なデータセンターやクラウド利用など、総合的なソリューション提案力が必要になってきます。例えば、製造業の企業がローカル5Gを活用して、生産システムを自動化して工場の生産性向上を目指すプロジェクトに取り組む場合を想定しましょう。現時点でも、生産ライン上の装置の稼働状況や生産品の状態を目視で監視し、必要に応じて装置の操作やライン稼働の変更をしている工場はたくさんあります。製造業では、日本に限らず、世界中で人員不足が顕在化しており、こうした作業の自動化を求める声が高まっています。

自動化に際しては、ラインや生産品の様子を現場に設置した高精細なカメラの画像や様々なセンサーで取得したデータを通じて検知し、これを解析して現場の状況を正確に把握できるシステムを構築する必要が出てきます。ただし、工場内には、こうしたデータを収集するためのケーブルを敷設するスペースが少なく、しかもラインのレイアウト変更が頻繁に起きる工場も多くあります。さらに、より多くの情報を得るために、必要に応じてセンサーなどを増設できる柔軟性も必要です。ここにも、5Gの特長である超高速・超低遅延・超大量接続を必要に応じて柔軟に使いこなすことがとても重要になります。

ただし、基地局や端末だけを5G対応にしても、自動化システムの高性能化はできません。現場の状況を把握、解析し、現場の装置やラインにフィードバックする一連の過程を瞬時に終える必要があります。超低遅延が実現する5Gならば、データのやり取りにかかる時間は短縮できます。しかし、それに見合った迅速な解析や判断ができないと、せっかくの超低遅延が活かせません。富士通は、5Gの特長を引き出すシステム全体の構築を、多角的な知見を注ぐことで支援していきます。

第3回では利用シーンの拡大や効率的運用を可能にする技術を紹介します。