デジタル技術を活用したイノベーションでSDGsに貢献

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企業のブランド価値を高める上で重要なサステナビリティをテーマにした国際的なカンファレンスイベント「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」が、2019年3月6日~7日、ヒルトン東京お台場で開催されました。6日に行われたセッション「SDGs Strategy 次世代CSV(共有価値創造)経営とは何か」では、日本航空、カルビー、住友林業とともに富士通の理事 梶原が、SDGsの実現に向けた取り組みを紹介しました。【サステナブル・ブランド国際会議2019東京 レポート】

SDGs実現へのアプローチ

富士通株式会社
理事 グローバルコーポレート部門
人事本部副本部長(人材開発担当)
(兼)ダイバーシティ推進室長
梶原 ゆみ子

富士通は創業以来、ICTを通じて社会に貢献するビジネスをグローバルに展開してきました。現在は、ICTの力を起点に、誰もが安全で豊かな持続可能な社会に参加できる「Human Centric Intelligent Society」というビジョンを打ち出し、その実現に取り組んでいます。

富士通は、当社の持つデジタル技術や知識、経験を活用し、お客様のビジネス変革を支援することを通じて、食料問題やエネルギー問題、貧困、少子高齢化、地域の過疎化といった国内外の社会課題の解決に取り組んでいます。デジタル技術を活用して、お客様にとっての価値と社会にとっての価値を持続的に創出していくことが、富士通のSDGs実現に向けたアプローチです。

図1 富士通では、お客様との「Co-creation」を通じて、人々・社会にとっての価値の創出に取り組む

Co-creationによって、エネルギーや医療分野の課題解決に挑戦

続いて、お客様とのCo-creationを通じて社会課題の解決に取り組んでいる事例を紹介します。
1つ目は、環境にやさしい再生可能エネルギーである風力発電に貢献した事例です。発電に使用される風力タービンは、羽に微細な傷や不純物の混入があると、稼働中に羽が破損して大惨事に繋がる可能性があります。そのため品質検査が重要ですが、従来は熟練の検査員が5時間以上かけて目視による検査を行っていました。富士通はシーメンス・ガメサ リニューアブル・エナジー様と、自動的に不良を検知するAIを共創。不良検知率100%、検査時間の80%短縮を実現しました。

図2 再生可能エネルギーである風力発電における課題解決への取り組み事例

2つ目は、がんのゲノム医療における京都大学様との共同プロジェクトです。専門の医師は、患者の正常細胞とがん細胞の遺伝子を解析し、その結果から原因遺伝子を特定して治療法を決めていきます。この原因遺伝子の特定に富士通の「説明可能なAI」を適用することで、原因遺伝子の推定結果の根拠と理由を示すことが可能となりました。これにより、医師による原因遺伝子の特定に必要な期間が2週間から1日に短縮できました。

図3 ゲノム医療に「説明可能なAI」を活用した取り組み事例

最後の事例です。2019年2月に、様々な企業が、業界の境界を超えて結びつき、医療や健康データを活用して新しいサービスを創出するための医療プラットフォームを発表しました。今後、様々なお客様に使っていただき、健康で質の高い生活の実現に貢献していきたいと思っています。

図4 医療や健康データを一元管理・活用する医療プラットフォーム

トラストなデジタル技術を活用し、SDGsの実現へ

現在、日本では「Society5.0」という未来の社会像が提唱されています。これは、デジタル技術を活用して経済の発展と社会課題の解決を両立する人間中心の社会です。その実現のためには、デジタル技術やイノベーションの一層の進歩が欠かせません。

一方、デジタル技術の進歩によって、それが悪用されたり、デジタル技術を使える人と使えない人の格差が広がるなどの新たな社会不安が生まれていることも事実です。テクノロジーを活用して「誰もが安全で豊かな、持続可能な社会」を目指す、つまりSociety5.0を実現するためには、デジタル技術をトラストな(信頼できる)ものにするとともに、誰もが安全に使いこなせるようにしていくことが重要です。

これからの社会では、新しいテクノロジーを開発したということだけでは浸透していきません。テクノロジーが社会に実装され、サステナブルな状態になってこそ、テクノロジーが価値を生み出します。そのためには、社会受容性を高めることが重要であり、倫理やリベラルアーツなど人文・社会科学系との融合も含めて包括的に考えていく必要があります。社会を構成する個人としても、今までと同じ考え方ではなく、インクルーシブな社会の在り方や、AIと共存するとはどういうことか、人間らしさとはなにか、等ということを考え、議論していくことが大事だと思います。

皆様と一緒に、トラストなデジタル技術を活用したSociety5.0、そしてSDGsの実現を目指していきたいと思っています。