2019年を占う:顔認証システムの利用が進み、音声広告が停滞

2018年はフェイスブックが自身の魂を、というより、利用者の魂を売り渡した事件から、ネットワーク中立性をめぐる争いや、アップルの時価総額1兆ドル超え、さらには暗号通貨の暴落まで、論争と興奮と失望に右往左往するような年でした。

このように昨年見られた不安定な状況を踏まえて、本稿では筆者による2019年の5大予測をご紹介しましょう(2018年について筆者が同様に行った予測の採点結果も、後半でご覧いただけます)。

1. 中国以外でも大規模な公共スペースで顔認証システムが試験的に使われ始める

すでに中国では広範囲に利用されている顔認証システムですが、2019年には米国の大規模な公共スペースでも試験運用が開始されるでしょう。技術面でも公共政策面でも乗り越えるべきさまざまな問題はありますが、顔認証に基づいて、私たちの視野の中にパーソナライズされた広告が送り込まれてくるといった、映画『マイノリティ・リポート』のような世界の幕開けとなるかもしれません。

2. エンタープライズアナリティクスが大きなトレンドになる

クラウドコンピューティングの先駆者であり、オンデマンド型のITシステム運用管理サービスを提供するオラクル・オン・デマンドの前社長でもあるティモシー・チョウ氏の講演で数か月前に聞いた内容と、スタートアップの支援事業を手がけるスパークラボ・グループの共同創業者であるハンジュ・イが繰り返し語るクラウドの未来を考え合わせると、エンタープライズアナリティクスが今後、オラクルやセールスフォース、SAPなどが手がける1兆ドル規模のワークフロープラットフォーム分野のように大きく成長し得るという見解に同意せざるを得ません。そのうえで筆者は、この分野が2019年末までにワークフロープラットフォーム分野が有する価値の3分の1にまで達すると予測します。

3. 自動車メーカーのテクノロジー企業への変貌が始まる

自動車には明らかに数多くのテクノロジーが搭載されていますが、今はまだ最新というよりも過去から引き継いだものの割合が高い状況です。この業界が先端的なソフトウェアを自動車やその他の先進テクノロジーと組み合わせる道はテスラによって開かれましたが、これは来たるべき自動運転車実現への出発点にすぎません。振り返れば、通信業界は大手IT企業によってデータの通り道の地位に甘んじる「土管化」の道を歩みました。自動車業界は、その二の舞を演じないために、最先端のイノベーションやサービス、エコシステムを取り入れて現代的なテクノロジー企業へと変貌を遂げようとするでしょう。そうしなければ、破綻したり、見る影もないほど凋落した携帯電話メーカーのノキアや大手電気通信事業者のMCI、そして通信機器製造企業のノーテルと同じ轍を踏むことになります。

2019年は、近い将来にIT化の蚊帳の外に追いやられないために、大手自動車メーカーがさまざまなテクノロジー企業に対して買収や新規提携を積極的に行う姿が見られるはずです。

4. 音声広告が停滞する

アマゾン・エコーやグーグル・ホームの人気を受け、2018年には未来のインターフェースや広告プラットフォームとして音声を利用するための初期段階の取り組みがかなり見られましたが、すべての努力が徒労に終わる可能性があります。筆者は、スパークラボ・グループの共同創業者であるジミー・キムと共に、音声サービスを提供するヘイアニタ・コリア社を共同で設立した2000年からこの分野に携わってきた結果として、音声広告についてより慎重な見方をするようになりました。音声広告は、ある意味で双方向テレビとほぼ同じ道をたどっているように感じられるのです。つまり、5年ごとに話題になり、結局期待に応えることができないという種類のサービスなのかもしれません。

5. データサイエンティストがコールセンターの窓口係になる

データサイエンスはすでに成長分野ですが、今後ともAIやデータ分析はあらゆる業界において重要なポジションを占め、そのニーズは高まる一方でしょう。最上位クラスのスキルが求められるポジションを埋める人材を見つけるのは難しいかもしれませんが、既存のデータサイエンティストに対して最適なツールを提供してトレーニングを行い、必要とされる部署に効果的に配置することは可能です。その流れの中で、2019年には、データサイエンティストがコールセンターの窓口係となっていく最初の大きな波が見られるでしょう。当然ながら、彼らの給与は上がり、評価も高まることになります。すでに米国だけでコールセンターの窓口係は250万人を超えていますが、それと同規模のデータサイエンティストが、パートタイムやフルタイムとして必要になるかもしれないのです。

2018年の予測に対する採点結果

上記は2019年の予想ですが、実は筆者が行った2018年の予測に対する自己採点の結果はけっして自慢できるものではありませんでした。しかし、自分のミスを認めることも重要であり、参考にもなると思うので、以下にまとめてみました。

「ブロックチェーン賞金稼ぎ」が職業になる。筆者は、2018年末までに「ブロックチェーン賞金稼ぎ」ともいうべき新しい職種が誕生するだろうと予測していました。実際には、そのような動きの非常に小さな波はいくつか見られたものの、特筆するほどのトレンドにはなりませんでした。評価:D-

自動運転タクシーが5都市で走行を開始する。チャンドラー、テンピ、メサ、ギルバートという4つの街はどれもフェニックス市の大都市圏内にありますが、それぞれが都市と呼ぶに相応しい規模を誇ります。これに、テキサス州フリスコで提供されているドライブ・エーアイ社のサービスと、リフト社のラスベガスでのサービスを加えると、計6か所で自動運転タクシーが稼働中であるといってよいでしょう。ちなみに、筆者の妻は昨年の春に入社したばかりですが、そのドライブ・エーアイ社に勤めています。評価:A-

量子コンピューティングがビットコイン並に注目を集める。2018年には確かに量子コンピューティングの分野で新たな動きや進展が見られましたが、筆者が予測したほどではありませんでした。しかし、数週間前に米下院が国家量子イニシアチブ法案(H.R. 6227)を可決し、トランプ大統領が署名したため、今後5年間にわたって量子コンピューティングに12億ドルの資金が供給されることになっています。そして、グーグルが2018年内には50量子ビットの量子コンピュータを公開することができなかった一方で、今ではIBMも世界初の量子コンピュータを目指す開発競争に加わっています。評価:C-

中国の他、5つのOECD加盟国が独自の暗号通貨の使用を開始する。この予測は一種の賭けに近いでしたが、ものの見事に失敗しました。筆者は、最終的な結論を下すのを2019年に持ち越したいと思いますが、いずれにしても2018年のみで考えれば評価は落第の「F」です。評価:F

脳波で操作できるマシンが市場に多数登場する。脳波で操作できる義足が登場し、大規模予算と急速な進歩が見込めることから米国国防総省がこの分野に重点的に取り組むなど、いくつかの明るい前進は見られたものの、そのようなマシンが多数登場することはありませんでした。いうなれば、煙が上がった程度にすぎず、2018年にこのイノベーションの「煙突」から煌々と火が燃え上がることはなかったのです。評価:D+

バーナード・ムーンは、アクセラレータとベンチャーキャピタルファンドのネットワークであるスパークラボ・グループの共同創業者兼パートナーです。

 

この記事はVentureBeat向けにバーナード・ムーンとスパークラボ・グループが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。