2019年に注目すべき「デマンドジェネレーション」の3つのトレンド

ユーザー登録によって継続的に得られるデータに基づいてパーソナライゼーションと個別のマーケティングを促進する一方で、買い手のプライバシー保護の必要性も高まっている

アドビの発表によると、パーソナライズされたコンテンツに対する消費者需要は、2018年に史上最高記録に達しました。このことからも、同年の最も顕著なトレンドがいくつか浮き彫りになっています。たとえば、買い手の42%がパーソナライズされていないコンテンツには「イライラする」というのが、昨今の市場です。そのような消費者を相手にするマーケティング組織では、登録されたユーザーアカウントに基づいたターゲティング戦略と革新的なマーケティング技術ソリューションの採用が急速に広がっているのです。また、顧客体験向上を追求していく中で、買い手に関するデータの重要性がかつてないほど高まったところにGDPRことEUの一般データ保護規則が施行された結果、マーケティング担当者はデータ収集のアプローチを厳格化する必要に迫られました。

ここでは、マーケティングに明け暮れた2018年の主なトレンドを振り返ると共に、それらが2019年にどのような展開を見せるのか予測していきます。

#1:アカウント・ベースド・マーケティング

2018年は、ABMことアカウント・ベースド・マーケティングはもはや流行語ではなくなり、すっかり完成されたマーケティング戦略になったことを、フォーブス誌が宣言した年でした。アカウント・ベースド・マーケティングとは、ユーザー登録されたアカウントに継続的に蓄積されるWebサイトのブラウジングや購入の履歴に基づいて、個別にカスタマイズされたマーケティングを行うことを指します。筆者も所属するマーケティング企業のアニュイタスとしては、その実践企業の大半が、現状ではABMを大局的な戦略というよりも部分的な戦術として扱っている段階にあると主張したいところですが、マーケティング関連のソフトウェアを手がけているエンゲージオによる2018年のABM展望調査では、参加者の4分の1近くがそれなりに、あるいはかなりの程度まで社内でABMプロジェクトが進行中であると答え、約半数が開始したばかりだと回答しました。ABMへの関心が高まっていることは明らかで、このアプローチが利益をもたらすことも多くのエビデンスによって裏付けられていますが、これらの企業が実際に成功を収めるにはABMを適切に「実行する」必要があることも事実です。その意味では、既存の顧客を除外する、インバウンドの取り組みやコンテンツ戦略を怠る、営業部門に任せきりにするなどといった起こりがちなミスを避けることによって、成功する確率が大幅に高まるということを覚えておいてください。

では、2018年にはどのような成功例が見られたのでしょうか。マーケティングの自動化技術に取り組んでいるデマンド・ジェンによる2018年のアカウント・ベースド・マーケティングの状況レポートには、トップレベルの成果を収めているABM実践者からの回答結果が示されています。それによれば、回答者の89%が取引成立までのパイプラインの改善が見られたと答え、91%ABM対象アカウントはそれ以外のアカウントと比べて取引の平均規模が大きいと回答しました。しかし、ABM戦略をデマンドジェネレーション戦略に組み込んだと答えたのは回答者の3分の1のみであり、残りの3分の2の企業は共通の目標持つ戦略間の調整ができずに、相乗効果を生み出す機会を逃したことになります。

また、2018年の時点で、すでに既存顧客に対する戦略の重要性が高まっていましたが、2019年もその傾向が続くことでしょう。2018年には、収益が10億ドルを超える企業の3分の1以上が今後買収のペースを上げる予定であることが、世界最大規模の会計事務所であるデロイトの調査によって明らかとなりました。多くの企業にとって、それはクロスセリング、つまり関連する商品やサービスを組み合わせて販売する機会が増えることを意味します。コンバージョン率は、見込み客では20%に留まるのに対し、既存顧客の場合には6070%もあるため、クロスセリングは新規取引よりも目標達成が容易な販売戦略です(参照:マーケティングランド)。反面、買収対象となりそうな企業にとっては、買収された結果として既存顧客への販売による大幅な増収が見込めるかどうかが、取引の成否を分けることもあり得ます。

では、2019年にはどのようなことが期待できるでしょうか?

世界的な法律事務所のホーガン・ロヴェルズは、2019年は合併・買収を行う上で好ましい状況が継続するという観点から、2018年と同様の傾向が続くと予想しています。特にテクノロジー分野の顧客にサービスを提供している企業にお勧めしたいのは、顧客との関係を維持してビジネスの継続性を高めるカスタマーサクセスチームをABM関連のグループと融合し、クロスセル戦略の準備を整えることです。

ほかにも、ABMに関するトレンドは、データやテクノロジーイノベーションを中心としたものになることが予想されます。フォーブス誌は、AIの高度化に伴ってABMの実行がますます容易になっていると指摘しており、このことから導き出されるのが、以下の2番目のトレンドです。

#2:マーテック:パーソナライゼーション

金融分野でフィンテックの波が起こったように、マーケティング分野でもマーテックと呼ばれるテクノロジー改革が進行中です。2019年以降は、AIテクノロジーの普及に伴って、マーケティング担当者による単純なデータセグメンテーション手法から、「ハイパー・パーソナライゼーション」と呼ばれる、関連するデータをよりきめ細やかに「つなぎあわせていく」アプローチへの移行を果たしていくものと予想されます。その過程において、担当者がターゲット層に対する情報発信を最適化してより適切な方法で表示するための洞察を得るに連れ、マーケティング戦略におけるコンテキストとコンテンツは最高の形で一体となっていくことでしょう。

CMOこと最高マーケティング責任者がAIに取って代わられることは、おそらく当分ないと思われますが、2018年には、パーソナライゼーションエンジンのようなテクノロジーによって、マーケティング担当者がさらにAIの領域に踏み込むようになりました。ITコンサルティング会社のガートナーによれば、パーソナライゼーションエンジンの役割は、「各ユーザーと現在の状況を把握して分析を行い、その結果を踏まえて、デジタルチャネルを通じたコンテンツやオファー、その他のメッセージングの選択や調整、提供を行うことにより、マーケティング、デジタルコマース、顧客体験という3つのユースケースをサポートする商品や表現を提案する」ことにあります。2018年は、ガートナーがパーソナライゼーションエンジンのソフトウェアソリューションに関する初の「グローバル・マジック・クアドラント」レポートを発表した年であり、その中で取り上げられたベンダーは対前年比で35%の増収が見込まれることが示されました。

また、アドビによる2018年のデジタルトレンド調査では、世界中のマーケティング分野、クリエイティブ分野、IT分野の担当者にとって、コンテンツと体験が最も重要であること、そして最高の成果を得ている組織はマーケティング活動にAIを利用する傾向が、そうでない組織と比べて2倍以上高いことが明らかになっています。アニュイタスでも、インバウンドとアウトバウンド両方のマーケティング活動に上述のようなパーソナライゼーションテクノロジーを採用し、買い手側の購入体験を向上させることによって、顧客と買い手のマッチング率を高めてきました。具体的には、見込み客がウェブサイトを訪れた時点で、その人物像や、購買ジャーニーにおける現在のポジション、ソリューションに対する関心領域を予測し、それに基づいてコンテンツを提供することによって、マッチングを実現しています。

しかし、こうしたカスタマイズ手法と、見込み客が「気味悪いほど好みが把握されていると感じる機能」との差がますます曖昧になるにしたがって、だれもがデータとプライバシーとの関連性を考えるようになるでしょう。このことから、3番目に注目すべきトレンドとして以下のものが導き出されます。

#3GDPR:データとプライバシー

20185月にGDPRの運用が正式に開始されたことで、マーケティング担当者は確実に「顧客ファースト」を実践しなければならなくなりました。訪問したサイトの至る所で「クッキー」に関する通知に気付かれた方や、急いでプライバシー設定を変更された方も多かったのではないでしょうか。結果的にマーケティング部門は、オプトインポリシーに変更を加えたり、収集する個人データの処理の正当性を証明したり、消費者に対して各自の個人データへのアクセスや削除要請を行う権利を提供したりする必要性に迫られました。さもないと罰金が科せられる恐れがあるためです。

マーケティング担当者は、これらの新しい規制への対応を厄介と感じた一方で、その顧客体験に対する影響については楽観的なところもありました。しかし施行後3か月の時点でマーケティング関連のオンラインメディアであるマーケティング・ウィークが行った消費者調査によると、回答者の65%はブランド体験にポジティブな変化が感じられなかったと答えています。そればかりか、消費者の3分の1以上が、GDPRの施行後も自分のデータが同意なく使用されているのではないかと感じているのです。一方、企業側から見てみると、アカウントベースドマーケティングの専門企業であるDemandbaseによる2018年の調査では、採用しているマーケティングテクノロジーベンダーがGDPRに準拠していないことによって、自社にも法律上のリスクが及ぶことを今でもある程度懸念していると答えたマーケティング担当者の割合は、80%に上ることがわかっています。

GDPRの施行1年目が終わろうとしていますが、上記の調査結果を見れば、2019年に対応を改善すべき余地があることは明らかです。確かに、2018年にはマーケティング担当者がGDPRへの準備を整えるだけでパニックに陥っていたかもしれません。しかし、2019年にはその状態から回復して、消費者の信頼を取り戻すことを最終目標に掲げながら、あらゆるギャップを埋め、コミュニケーションを強化することに集中できるようになるでしょう。そして、目標を達成した暁には、買い手との関係向上によるメリットが得られるようになり、GDPR準拠に伴った当初のストレスは懐かしい記憶となるはずです。

マーケティング担当者は今後、見込み客の人物像をさらに詳細化し、コンテンツのカスタマイズ度合いを高め、エンゲージメントチャネルへの投資をより注意深く検討することで、見込み客創出段階にあたる「ファネルの最上部」のターゲティングを強化する必要があります。

これら3つのトレンドを押さえることで、デマンドジェネレーションは確実に向上させられるのです。

 

この記事は元々アニュイタスに掲載されたものです。

 

この記事はBusiness2Community向けにカイヤ・ハイニクが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。