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孫の世代の冷蔵庫はどうなっている? IoTの進化がもたらすビジネスモデル変革

冷蔵庫で太り過ぎを警告してほしい人はいませんか?白物家電メーカーとして世界トップクラスの売上を誇るハイアールでCTOを務めるフェン・チャオ氏によると、そうした製品は、絶えず拡大を続けるIoTがもたらす成果の1つです。

フェン氏は、中国広州のフォーチュン・グローバル・テック・フォーラムで講演し、ユーザーデータが企業ビジネスのあり方をどのように変革しているかの例として、自社のスマート冷蔵庫を挙げました。「これは、おばあさんの世代の冷蔵庫とはまったくの別物です」と、フェン氏は言い切ります。

インターネットに対応したハイアールの冷蔵庫は、中に入れた物を認識し、所有者のスマートフォンに、例えば牛乳などの食品が切れかけていることを注意するメッセージを送ります。さらには、ユーザーによっては、健康的な食事メニューの提案まで行うのです。しかし、こうしたデータを収集する機能は、エンドユーザーの体験に影響を与えるだけではなく、ハイアールの企業戦略をも変化させています。

この点についてフェン氏は、次のように述べました。「当社では現在、デジタル革新が進行中で、かつてのハードウェアメーカーから、ソフトウェアやサービスも提供する企業へと転換しつつあります。この改革が抜本的なものといえるのは、新たに移行するビジネスモデルが、顧客を一度限りの消費者として扱うのではなく、生涯にわたって関係を維持するパートナーとして捉えるためです。」

実は、世界の人々が生成するデータの量は、2012年の時点ですでに2.8兆ギガバイトに上っていました。ブルーレイディスクに書き込むなら、優に1,000万枚分に相当する分量です。しかも、この数字は2030年までに、さらに40倍近くに増えると予測されています。このようなユーザーデータの爆発的増加のきっかけとなっているのが、IoT、いわゆる「モノのインターネット」の急速な拡大です。

2010年の時点で、インターネットにつながったデバイスは全世界あわせて125億台存在していました。2020年までに、これが500億台となりますが、この数字はコンピュータだけでなく、インターネットにつながるあらゆるデバイスを足し合わせたものです。具体的には、スマートフォンやスマート家電、そして近い将来にはスマートカーなども含まれます。にもかかわらず、2010年にインターネットに接続されていた125億台のデバイスが生成した全データのうち、処理されたのはわずか0.5%に留まっていました。

アミール・コスロシャヒ氏は、自らが起業したディープラーニングを扱う企業であるネルバーナが2016年にチップメーカーのインテルによって買収された後、同社のAI部門を率いてきた人物です。同氏の認識では、この膨大なデータから価値を引き出すには「途方もない計算量」が必要だといいます。

しかし、それを可能とする計算量を達成するうえでは、まさにデータの急増こそ「好循環」につながるというのが、コスロシャヒ氏の主張です。インテルのような企業が、その膨大なデータを処理するために処理アルゴリズムの改良を迫られ、結果的に、より多くのデータを新たに生成できる余地が生まれると彼は述べています。

コスロシャヒ氏の説明では、「送りこまれてくる情報の多さが、新たな種類のデータを処理できるニュータイプのチップを作り上げるために有益だと分かってきました」とのことです。この発言は、インテルのチップセットの将来的なデザインについて、言外にほのめかすものといえるでしょう。

「現代の人々が生きているのは、AI + IoTの時代です。私たちはこれを『インテリジェント・インターネット』、あるいは、情報へのアクセス手段があまねく存在していることを意味する『ユビキタス・コンピューティング』とすら呼んでいます」と付け加えるのは、ジェリー・ワン氏です。同氏は、中国のEコマース企業のアリババを経て、杭州に拠点を置く有望なスタートアップ企業であるトゥヤのCEOとなりました。トゥヤは、製造業者に対して、電球のような普通の製品をスマート化するプラグインパーツを作っています。

一方では、得られたデータをどのように保護するかということも問題です。インテルが取り組んでいる準同型暗号を用いれば、データとそれを処理するためのアルゴリズムを共に暗号化したまま扱うことができ、完全なエンドツーエンドのセキュリティを提供することが可能となります。しかし、「いずれにしても将来の製品には、ユーザーが自分のデータをコントロールするための権限と機能を与える必要性がある」というのが、ハイアールのフェン・チャオ氏の考えです。そのため、それを満たすための製品デザインには、今よりもっと大きな変化が生じることになるでしょう。つまり、IoTの進化は、私たちに孫の世代の冷蔵庫はどうあるべきかという課題を突きつけているといえるのです。

 

この記事はFORTUNE向けにイーモン・バレットが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comにお願い致します。