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AIで無駄業務をコア業務へシフト。富士通の社内事例にみる、働き方改革成功のポイント

エバンジェリスト・松本国一が語る、“現場起点”の働き方改革実現

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働き方改革に取り組む企業は増えていますが、「改革が進んでいる実感がない」という企業が多いのも事実。2018年11月28日に開催した、働き方改革をテーマとした「Fujitsu Insight 2018」の講演「AIを活用した新しい『働き方改革』 ~社内実践からわかったAIによる業務の可視化と改善策~」では、当社エバンジェリストの松本国一が富士通の社内事例を交えながら、現場起点で働き方改革を実現するヒントを語りました。
【Fujitsu Insight 2018「働き方改革」基調講演レポート】

なぜ今「働き方改革」が必要か?その目的をおさらい

「なぜ今、働き方改革が必要か」、多くの人がこの投げかけに回答できないでしょう。働き方改革といえば「長時間労働の是正対策」「ブラック企業の根絶」「ワークライフバランスを整える」・・・このあたりを思い浮かべる方が多いと思いますが、これらの言葉は働き方改革の本質を示してはいません。この背景には日本の労働者が今後激減してしまうという課題があります。

これから日本の皆さんは、世界には類を見ない未曽有の体験をすることになります。それは「超少子高齢化」社会への対応です。働き方改革と少子高齢化とは、合わせて語られることが多いですが、私はあえて「超」を付け加えています。

日本では今後、少子高齢化が進んで労働人口が大幅に減少するという事態が発生します。2060年までの約40年間で労働者は40%も減少するとも言われています。また、2025年には大手企業の2人に1人の従業員が50歳以上になるそうです。そのため本人ではなくその家族の日常にも多くの課題が出てきます。それは「介護離職問題」です。

人口減少や介護離職によって、様々な弊害が生じます。長時間労働対策の法改正や副業の解禁などで、2060年には現在の5分の1まで企業の従業員のリソースは減少すると予測されています。5分の1にまで少なくなった、その人数で今の会社を維持できますか? 困難であると言わざるをえないでしょう。会社だけではなく、社会全体の維持も難しい状況に陥ってしまいます。

また、2100年には日本の総人口は5000万人まで減少すると言われています。一人ひとりの労働生産性を高めていかないと、国もしくは企業の仕組みが維持できなくなります。

だからこそ、働き方改革は急務であり、今すぐ取り組まなければならない直近の課題なのです。そのため、日本政府は働き方改革に真剣に取り組んでいます。

政府は2018年9月、「働き方改革実現会議」を発足しました。これは、「場所や時間、会社の制限からの解放」や「定年年齢の引き上げ」「誰もが活躍できる社会の実現」「外国人採用」、IT分野では「AI(人工知能)/RPA(ロボットによる業務効率化)」などの制度やテクノロジーの導入を促進していくものです。

働き方改革の成功は、「現場の見える化」から

働き方改革に全く取り組んでいないという企業は少ないと思います。残業時間の短縮やフレックス勤務などの制度を変更したり、「仕事の進捗状況の見える化」などの仕組みを導入したりするなど、何かしらの改善に取り組まれていると思います。

しかし、多くの従業員にとって「改革が進んでいる実感がない」というのが実態のようです。終業後も社外で残業することが増えたり、せっかく育児・介護制度があっても、結局は会社に残ったメンバーと連携するために出社を求められるなど利用できないケースも多いと聞きます。残念ながら、制度や仕組みだけでは働き方は変わりません。

働き方改革を実践する中で、最初に重要となるのは「現場の見える化」です。従業員の皆さんが今、どのような仕事の仕方をしているのかを把握した上で、有効な対策を講じる必要があります。

私は年間200社くらいの方々から「働き方改革をやりたい」という相談を受けています。ところが、「現場の従業員は、今どんな仕事の仕方をしていますか」と聞いてみると、たいていの人たちは「わかりません」と困惑してしまいます。また、チームや部門の業務状況を定期的に把握できていないケースも多くみられます。つまり、現場の状況は、現場で働いている人にしかわからないのです。

現場の実態を正確に「知る」ことができれば、どこに問題があるのかに「気付く」ことができます。そして、その解決策を「考える」ことにつながり、その結果、仕事を「変える」ことができるのです。「知る」「気付く」「考える」「変わる」の4ステップからなる改革メソッドは、非常に重要です。

働き方改革が進むメソッド

AIを活用して現場の業務内容見える化を実現する

現場の見える化の次に取り組むべきことは、無駄な業務を減らすことです。業務の全体量が減ることで、より必要なコア業務に集中でき、創造性の高い仕事に注力できるようになります。その結果、コア業務の質の向上につながります。

「業務の効率化」と「業務の質の向上」を実現することで、生産性や従業員のモチベーションは自から上がっていきます。現場が変わると会社も成長していきます。つまり、企業の成長戦略に合わせた働き方改革が実践できるのです。

実際に個人やチーム、全社の現状を正確に把握し、見つめ直すことで、効率的に業務が進められます。業績の向上や個人の達成感も得られます。働き方が変わることで時間を有効活用でき、ワークライフバランスが向上します。すると、自分の家庭や地域社会に貢献できるような社会活動につなげることができます。その結果、これらが働き方改革を実現するエコシステムとしてどんどん機能していくようになります。

現場の見える化を起点とした働き方改革の実現を視野に、富士通はマイクロソフトと2017年、AI(人工知能)分野での戦略的協業を発表しました。両社の持つAIソリューションを活用して「働く人を中心にした働き方改革」を実現しようと取り組んでいます。

富士通は2018年11月27日、AIを活用した業務内容の見える化を実現する新サービス「FUJITSU Workplace Innovation Zinrai for 365 Dashboard」(以下、Zinrai for 365 Dashboard)を提供開始しました。

Zinrai 365 for Dashbordでは、現場の見える化によって無駄な会議の削減、事務処理の効率化などを支援していきます。具体的には、「Microsoft 365」を利用することで「Microsoft Azure」に蓄積されたメールや文書のタイトル、スケジュールなどのビッグデータ、普段使っているPCの利用状況を、富士通のAI技術である「Zinrai」を用いて「作業」「対象」「テーマ」の3つの角度から解析し、自動で業務内容を分類しダッシュボードに可視化します。

Zinrai for 365 Dashboardの画面例

富士通では2000人を対象に社内実践。コア業務の割合が16%向上。

富士通は2018年7月から約2000人の従業員を対象にして社内実践を開始しました。このトライアルでは、社内実践に参加した従業員全員がダッシュボードで自分の普段の業務の実態を知ることができました。普段最も時間を割いている業務は何なのか、その業務はビジネスに貢献するような本当に必要なものなのか・・・見える化されたことにより、多くの従業員が非コア業務が多いということに気付くようになりました。すると次のステップとしては「非コア業務を減らすためにはどうすればいいのか」を「考える」ことができます。

ただ、一概に会議時間を削減することがコア業務へのシフトにつながるわけではありません。新しい企画を生み出すために必要な会議は、もちろんどんどんやっていくべきです。Zinrai for 365 Dashboardの良い点は、単に会議に費やしている時間を見える化するだけではなく、その会議の内容がコア業務に関連するものなのか、非コア業務なのかまでAIが分析してくれるところです。

その結果、事務処理や社内報告などの非コア業務の割合が32%減少し、一人当たり一日で約43分の時間創出を実現しました。また、作業の効率化でコア業務が全体に占める割合が16%増加し、計画的な休暇取得を推進、年次休暇取得日数が1.5倍となりました。ワークライフバランス・生産性の向上など、社内が「変わる」ことができました。

このような社内実践を踏まえて、富士通は、働き方の見える化を実現する、2つの「改革実現サービス」を提供しています。「PoCサービス」では、効果が見えそうな部門を選定し、テーマやルールを定義し、改革ストーリーのシナリオ作成などを行います。「基本サービス」では、実際にトライアルして効果測定を行い、改善案などを提供することで全社での働き方改革展開を支援します。これらを長期繰り返していくことで、従業員の業務や会社の高度化にもつながり、会社としてのあるべき姿に持っていくことができます。

社内実践を基にした2つの改革実現サービス

私たちは、見える化を元にした働き方改革を支援していきます。Zinrai 365 for Dashbordを活用することで、今後も皆さんの現場の改革を手助けしていきたいと思います。

登壇者

富士通株式会社
エバンジェリスト(働き方改革)
松本 国一