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働き方改革の実現に向け、いま注目されるRPAの最新動向・活用法・導入事例をご紹介!

日本政府が主導して取り組みが進められている「働き方改革」。その実現を支援するツールとして、定型業務を自動化する「RPA(Robotic Process Automation)」が注目されています。2018年5月17日~18日に開催された「富士通フォーラム 2018」では、カンファレンス「今だからこそ改めて考えるRPAの活用法~デジタルテクノロジーで実現するFuture of Work」を開催。RPAの最新動向や活用方法、導入事例などを有識者の方々が紹介しました。
【Fujitsu Forum 2018 カンファレンスレポート】

RPAの市場規模と適用業務

主にホワイトカラーの定型業務を効率化・自動化する「RPA(Robotic Process Automation)」。「デジタルレイバー」とも呼ばれるこの新しい概念は日本企業に急速に浸透し、その導入がビジネス変革の第一歩になると期待されています。
本カンファレンスでは、日本企業におけるRPAの活用の状況、導入に向けて克服するべき課題について議論がなされました。また、人工知能(AI)技術との融合によって将来の働き方がどう変化するかを展望しました。

日本国内のRPA市場は、2021年度に80億円を超える規模に

まずアイ・ティ・アール(ITR)の舘野 真人氏が日本国内におけるRPAの導入状況や市場規模の予測などを発表しました。
企業におけるRPAの導入意欲について、舘野氏は「ここ数年でRPAへの関心が非常に高まっています。ITRでは、業務の自動化をソフトウェアロボットで実現していくことは避けて通れないと考えています。労働人口が減っている現状と、過剰労働規制の強化やデータ改ざんなどの不正防止といったことも自動化に目を向かわせる要因の1つです」と説明しました。
ITRが2017年秋に実施した市場調査によると、RPA導入は「5,000人以上の規模」「情報通信や金融・保険業」などで特に進んでいるとのことです。「製造業でも3年くらいのスパンでの導入意欲が高まっています。今後は様々な分野での導入が進むと考えられます」(舘野氏)。
また、同市場調査では、RPAソフトウェアの2017年の市場規模は20億円、ワールドワイドでは120億円と見込んでいます。舘野氏は「日本は熱心な市場の1つ。5年後には2021年度には80億円を超える見込み」との推測を発表しました。さらに「企業の情報システム部門の担当者は、RPAに適した業務の抽出に取り組むことに加えて、将来の大規模導入に備えたガバナンスや管理の枠組みを構想することも優先してほしい」とアドバイスを送りました。

富士通が取り組む、次世代ワークスタイル「Future of Work」の実現

次に、富士通の中村 記章が、デジタル技術を中核としたこれからの働き方改革への富士通の取り組みを紹介しました。
富士通では、次世代のワークスタイルを「Future of Work」と定義し、その実現に取り組む活動を進めています。
中村は「従来はモバイルワーク、在宅勤務など働く環境を整備することが中心だったが、オフィスワークの中でRPAを使って人が関わるところを省力化していくことが注目されています。富士通では、ITを活用して業務の自動化や自律化、ナレッジの活用などを促進させることで、業務のやり方と人と仕事とのかかわり方を変えることに取り組んでいます」と説明しました。

次世代のワークスタイル「Future of Work」

また、2018年5月より富士通はFuture of Workの実現に向け、オフィスや現場フロントの業務を変革するサービスを新たに「ACTIBRIDGE(アクティブリッジ)」として体系化し、提供を開始しました。
ACTIBRIDGEでは、人が行っていた作業を効率化・自動化することに加えて、人ができなかった業務を代わりに行うことで実現する次世代のワークスタイルを支援します。
具体的には、お客様の業務課題を可視化して検証し、先進技術を活用して業務課題を解決する「デジタルコンサルティング」、多様な最先端技術をラインアップした「デジタルテクノロジー」、自社のノウハウや経験を提供する「ナレッジサービス」の3つを最適にインテグレーションして提供します。

ACTIBRIDGE

検証から運用まで一気通貫でサービスを提供し、RPA以外にもAIやBRMS(ビジネスルール管理システム)、BPMS(ビジネスプロセス管理システム)、IoT(モノのインターネット)、AR(拡張現実)/MR(複合現実)などを最適に組み合わせることで、RPAだけでは変革できなかった業務も含め、自動化やデジタル化を実現するというものです。
中村は「オフィスワークのみならず現場フロントワークにも展開することで、業務の全体最適を実現することが可能です」と新サービスのメリットを強調しました。

RPA導入の効果を生み出す3つのポイント

次に、RPAソリューションの開発を手掛けて市場を牽引するUiPathの長谷川 康一氏が、RPA自動化が経営基盤として成功するための必要なポイントを解説しました。
UiPathは2017年2月に日本法人が設立された後、日本国内で280社以上の企業が同社のソリューションを導入しています。長谷川氏は「日本は米国と比べて2年くらい遅れているという印象でしたが、ここ1年でワールドクラスの事例も出るまでになりました」と最新動向を語りました。

同氏は、RPAによる業務の自動化で従業員500人分の100万時間を創出した三井住友フィナンシャルグループ、2017年末までに400業務を自動化して働き方改革を率先している電通などの事例を紹介しました。
また、RPA導入が成功するポイントとして「スケール(全社導入)」「レジリエンス(安定稼働)」「インテリジェンス(AI化)」の3つを挙げました。「まずスモールスタートから始めて全社レベルでの導入を進めることが重要です。また、導入したロボットの活動状況を監視し、常に改良することで安定稼働が実現できます。さらにRPAとAIが補完し合うことで、より生産性を高めることが可能になります」(長谷川氏)。

RPAは単純作業の自動化は非常に得意ですが、判断を伴うナレッジワークには限界があります。一方、AIは自己学習機能を持つ自律的な存在です。RPAとAIを組み合わせることで、システムが自律的に物事を考え、判断することができます。

RPA導入の3つの成功要件

現場で働く人々を幸せにするためのRPA活用方法とは?

カンファレンスの後半部分では、RPAによる働き方改革についてディスカッションが行われました。

ロボットの野良化を防ぐには

モデレータを務めた浅井 英二氏は、ロボットの暴走(野良化)やセキュリティ事故やコンプライアンス違反など自動化・ロボット化に潜むリスクが指摘されていることに触れて、RPA導入に当たって克服すべき課題やその解決方法について登壇者に質問を投げかけました。
舘野氏は「RPAが効率化の対象としている業務の粒度は、これまで情報システムが取り扱っていた粒度よりもかなり細かいです。情報システム部門がRPAを推進させるためには、これまで以上にもっと現場に踏み込む必要があります」と語りました。

中村は「現場部門では、目先にある業務をRPAでどう効率化するかでまず話が進みます。現場主導では、部分最適になりがちで色んなリスクを伴います。ロボットの野良化や暴走を抑制するためにも、導入に当たってはセキュリティや運用に関して知見のある人に最初から入ってもらった方がいいでしょう」と回答しました。
富士通では、お客様の現場業務を観察し、分析。そこから課題を抽出・改善する役割を担う「フィールドイノベーター」を社内で育成してきました。さらに、2017年には「デジタルイノベーター」という職種を創出しています。新しいデジタルテクノロジーを使って、顧客のビジネスをどう変革できるかを見極めて形にする業務を担い、既に200人以上が現場で活躍しています。
また、長谷川氏は「大規模導入のジャンプスタートをするためには、キラーコンテンツを作成してユーザーの心をつかむことで現場のやる気を促すことも重要です」と語りました。
新しいサービスやプラットフォームを導入するには、何らかのコストが付きまといます。キラーコンテンツとは、コストを投じても新サービスやプラットフォームに移行したいとユーザーに思わせるような魅力を発揮したコンテンツを指します。

RPA×AI事例。事務処理の工数削減や受付業務の自動化に効果あり

浅井氏は「RPAは単純作業の自動化は得意ですが、判断を伴うナレッジワークには限界があります。そこでAIやIoT、VRなどと組み合わせることで働き方の変革が実現可能になってくるでしょう」との見解を示しました。
カンファレンスでは、UiPathが富士通と共同で開発したOCRソリューションのデモが披露されました。紙の請求書をOCRで読み取り、原本を管理システムへ登録することで業務の自動化を実現するというものです。「OCRはRPAと親和性が高いです。AIを組み合わせることでより高度な業務への適用も可能になります」(長谷川氏)。
次に、中村は「単純にRPAだけでは想像できないことも、AIや他の技術と組み合わせることで実現できるソリューションが出てきています」と説明し、RPAのフロントワークへの適用に関する富士通の取り組みとして2つの事例を紹介しました。
1つ目が、RPAとAIを組み合わせることで「集中購買業務における判断の自動化」を実現した事例です。購買担当者300人が月間6万件を超える集中購買業務の担当者割り当てを自動化することで、年間2,500時間の工数を削減してより創造的な業務へのシフトを可能にしました。
2つ目が、チャットボットとRPAで工事の受付業務を自動化した事例です。顧客からの申し込み受付/日程調整の作業をチャットボット「CHORDSHIP」とRPAで自動化。24時間365日の受付対応と即時の日程確定により、顧客サービスレベルを向上させています。
中村は「RPAやAIの活用というと難しく考えてしまいがちですが、ちょっとした工夫によって身近なところで使えばすぐに導入効果を実感できます。また、学習データからしか学べないAIでは膨大なデータを集める必要がありますが、AI側を拡張させるためのツールとしてRPAを活用することも可能です」と語りました。
また、既存のレガシーシステムである基幹系システムへの参照や更新入力などについても、エミュレーターを活用すれば実現可能になっていることを紹介すると、浅井氏は「企業の情報システム自体がかなり変化してきていますね」とコメントしました。

よりパーソナルな活用が期待されるRPA

最後に浅井氏は「日本の会社は現場力で支えられていると言われていますが、働く人々がもっと幸せるになるためにITはどう貢献できますか」と登壇者にコメントを求めました。

舘野氏は「今後、一人の人間が複数の業務を行う"複業"が進むと、企業側のスタンスで語られてきたRPAは、もっと個人側に寄って行くと考えられます。今後はパーソナルな機能が増えてきてほしいです」と回答しました。

中村は「富士通ではRPA="個人秘書"として、企業内の活用だけでなく、個人の働き方そのものを改革、楽にしていくことをゴールとして目指しています」と語りました。

長谷川氏は「会社と個人と2つの観点が考えられます。会社という観点では、入力や照合、参照などの手作業をRPAが担ってくれることで充足感が得られます。個人の観点では、お二人と同様に"パーソナルコンシェルジェ"が実現できる世界が来ると考えています」との見解を示しました。

本カンファレンスの内容をまとめたグラフィックレコーディング

登壇者

株式会社ITR 取締役/シニア・アナリスト
舘野 真人氏

UiPath株式会社 代表取締役CEO
長谷川 康一氏

富士通株式会社 デジタルフロントBG エグザクティブアーキテクト
中村 記章

モデレータ

アイティメディア株式会社 エグゼクティブプロデューサー
浅井 英二氏